伝説のウォーゲーム・デザイナー、ジェイムズ・ダニガンはその著書「戦争のテクノロジー」の中で、砲兵は戦場の神だと述べている。第二次世界大戦の陸上戦における死傷者の大半が、砲撃によるものだったとのデータを示してこれを主張した。
歩兵のライフルではまるきり届かない距離から、強力な破壊力を叩きつけてくる砲兵には、対抗する手段は多くない。ただ砲兵にも弱点はあって、展開や撤収に時間がかかることだ。この大戦初期には、ドイツ軍でさえ軍馬で大砲を挽いていた。
こんな状態では「電撃戦」の展開を砲兵支援することは難しい。そこで初期のドイツ軍は「空飛ぶ砲兵」Ju-87シュツーカを投入して戦車や機動歩兵を支援した。自動車大国ドイツは、砲兵も自走化させることを考えた。大戦に登場したドイツ軍の自走化された砲兵を見ていこう。右から順に、
◆Marder Ⅱ
兵装:75mm対戦車砲
装甲は薄い。
移動速度:13ヘクス/ターン
これだけは純粋な「砲兵」ではない。Ⅱ号戦車のシャーシに対戦車砲を載っけたもの。装甲はあるというもののオープントップだし、歩兵の白兵戦に遭えば生き残れない。中には、独ソ戦初期に大量に捕獲したロシア製76.2mm砲を載せたものもあったらしい。
◆PzA Ⅱ 通称:ヴェスペ
兵装:105mm榴弾砲
以下の自走砲もそうだが、装甲は薄い。
移動速度:13ヘクス/ターン
Ⅱ号戦車のシャーシに、長射程の105mm榴弾砲を載せたもの。「Squad Leader」より少し簡単な戦術ゲーム「Panzer Brits」では、最長の射程距離を持つ駒だった。ドイツ軍プレーヤは、この駒を非常に頼りにしていた。
◆sIG ⅠB 通称:シュタウムヴェーター(おじいさん)
兵装:短砲身150mm榴弾砲
移動速度:12ヘクス/ターン
大戦初期に登場した大口径自走榴弾砲。Ⅰ号戦車のシャーシに、sIG33歩兵砲を載っけたもの。電撃戦の主役である装甲師団に配属されて、進撃する師団戦力の支援にあたっていた。
◆PzA Ⅲ/Ⅳ 通称:フンメル
兵装:150mm榴弾砲
移動速度:13ヘクス/ターン
Ⅲ号/Ⅳ号戦車のシャーシに改良された150mm砲を載せたもの。上記「Panzer Brits」では、最大の攻撃力を持つ駒。もしフンメルがやられたとしたら、ドイツ軍プレーヤーは「降伏」してしまうかもしれない。
すごい兵器だということは分かるのだが、僕自身の「Squad Leader」経験では、正直出番は少ない。こんな駒が盤上に現れるようでは、用兵のまずさを指摘されよう。