Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

デジタル庁への期待

 菅官房長官(総裁候補というべきか?)が日経のインタビューに応え、政権構想を披露した。黒田日銀総裁の手腕を評価、経済再生を最優先、サプライチェーンの偏在見直し、中小企業再編を促す中小企業基本法改正などとしたほか、

 

マイナンバー制度も所管するデジタル庁の創設

・オンライン診療、教育の恒久化

 

 に言及した。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63495650V00C20A9MM8000/

 

 「COVID-19」感染拡大は、社会の矛盾を暴露し、来るべきものを一気に加速させたという意義があった。特に電子行政の遅れは、政治家を含む多くの人たちの共通認識となり、「なぜ目詰まりが起きるのか」を考えさせるきっかけとなった。すでに「IT基本法」の改正そのものは決まっているが、そこにデジタル庁という構想はあれど難しかったことが盛り込めるかもしれない。

 

 「省庁の縦割りの打破」は菅官房長官の得意分野、だから各省庁のデジタル部門の統合は最低やってもらえよう。20余年前に民間企業が行った方式は、多くの事業所でITシステムを所管し仕様決め・発注・運用・保守を担当している部署(俗にいうIT部門)を全部本社所属にして、各事業所長から予算と人事権をとりあげるやり方だった。デジタル庁も少なくとも霞ヶ関の当該部署は全部集めるくらいしないと、実効は上がらない。

 

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 次に必要なのは自省のITシステム担当だけでなく、民間にも及ぶデジタル政策を担当している部署の統合だ。内閣官房に「IT総合戦略本部」があるが、各府省(や民間)からの出向者ばかりでいずれは戻ることになる。出元が気に入らない施策をすれば「帰れなくしてやる!」と脅されるだけ。

 

 ICT政策という総務省、IT政策という経産省が双璧で「総経戦」と揶揄されるのだが、国土のデジタル管理を目指す国交省やオンライン診療の厚労省、オンライン教育の文科省など関連部門は点在している。もちろん「FinTech」の金融庁も。

 

 今やデジタル政策に絡まない府省など存在しないので、関係部署を全部集めると未曽有の巨大官庁になってしまうかもしれない。しかしそうしなければ霞ヶ関だけのDXで終わってしまうだろう。1,700自治体や民間まで含めた「Social DX」のためにデジタル庁と大物大臣、よろしくお願いしたいと思います。