Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

日本型組織は「検証」が苦手

 「帰ってきた民主党」と言ってはいけないらしい。このところの政局(与党の総裁選・野党の代表選)について雑談していて、ある人に叱られた。「合流新党と言ってあげなさい」と。国民民主党には14名ほどが残るらしいが、こちらには知名度のある政治家も少なくない。そのうちの一人、前原元国交相が「尖閣船長釈放問題」で当時の菅首相を非難してひと悶着あった。

 

https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20200908-00197304/

 

 尖閣諸島を巡る事件で、中国漁船が海上保安庁の船に体当たりしてきた件だ。リアル映像が世界に放映されて、どちらに非があるかは一目瞭然となった。しかし逮捕したこの船の船長を、対中関係を重視する視点から「超法規的措置」で釈放したというもの。この釈放は海上保安庁を所管する国交相として、首相指示でやむなくやったというのが主張ポイント。

 

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 上記の記事にあるように、このように不透明な体質のままでは合流新党が政権交代など目指せないと、新党のこれからに水を差すことになった。記事では「総括」と言っているが、要は「検証」のこと。実は日本型組織は「検証」が苦手なのだ。政府に近い経済学者によると、

 

・特に政府関係機関霞ヶ関は「検証」に消極的。

・先輩の誰それをおとしめるようなことになってはいけない。

・明確に(先輩筋から)圧力がかからなくても「自粛」するのが普通。

 

 という空気に支配されていて、唯一「福島第一の事故の検証」がそれなりに評価できるくらいだということだった。そういえば福島の時も、菅首相が自ら現地に飛ぶ「視察」を強行し、現地に混乱を引き起こしたとの批判もあった。

 

 これは民間でも同じで「同じ釜の飯」を食った後輩として、先輩をつるし上げる行為はしたくないものだ。しかし事業の危機やそこまで行かなくても大口の赤字など出した場合には、社内はもちろん株主からの追及も厳しくなってきている。もはや、あいまいにすませられた時代ではない。ちゃんとした「検証」をして、お取引先・株主や市場・監督官庁など「Multi-Stakeholder」に納得してもらう必要がある。

 

 霞ヶ関や永田町が、民間では当たり前になってきた検証をちゃんとしようということなら「尖閣船長釈放事件」の再励起はいいことだと思います。あ、そうそう「アベノミクス」の検証もいりますよね。