今月初め、米軍が広報したところによると、新しく7カ所の基地で5Gの技術テスト・実験を行うことにしたらしい。寡聞にして知らなかったが、昨年から米軍は5Gの実証実験を5カ所の基地で始めていた。これらを「Tranche1」と総称していて、
・ワシントン州の Joint Base Lewis-McChord
・カリフォルニア州の Naval Base San Diego
・ジョージア州の Marine Corps Logistics Base Albany
で実験がスタートしている。陸軍・海軍・空軍・海兵隊と、すべての主要な組織で行われている。今回追加になった7基地は「Tranche2」と区分されていて、
・ノーフォーク海軍基地
艦船と桟橋等の接続、荷揚げ・荷下ろしのデジタル管理だろう。
・パールハーバーのヒッカム空軍基地
航空機の発進準備、兵装・補給などの管理とフライト関連情報の共有かな。
・サンアントニオ共同基地
メンテナンスとトレーニングの支援、シミュレータを使った拡張現実教育プログラムだろう。複数の遠隔地との通信、セキュリティを組み込んだネットワーク運用テストに思われる。
のほか、前線と戦術指揮所の通信実験や、周波数共有など純粋技術的な実験も盛り込まれていた。
発表資料だけで判断するのは難しいが、ぼんやり想定アプリケーションの実像が見えてきた。シミュレーターのような教育設備は、リアリティが増すので5Gが好適だ。これにはドローンや戦闘ロボットの操縦というような用途も含まれるだろう。
目立つのは兵站関係、軍艦も軍用機も大量の補給を必要とする。自身が発するもしくは必要とするデータ量も大きい。IoT技術は前線兵士の小銃の残り弾数まで計測、通信可能だ。これらの補給を、状況把握~計画~(桟橋等への)輸送~補給と保守の流れで自動化することを、米軍は狙っているように思う。どこの軍隊でも補給物資の横流しは、決して無くならない。その防止にも役に立つだろう。
あとこの記事からは読み取れなかったが、高解像度の画像による各種のトレーサビリティも向上させることができる。さて、この仮説を裏付ける(か裏切る)レポートはいつ頃公開されますかね?