Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

尖閣諸島攻防戦のシミュレーション

 先週から、大作映画「Midway」が日本でも公開されている。Web上には前宣伝の映像があって、戦艦を銃撃・爆撃するシーンや、空中戦のシーンが恐ろしくリアルに再現されているのが分かる。日本側から真珠湾攻撃ミッドウェイ海戦を作戦・戦術的にみると、賭博性はあるものの合理性のある作戦に見える。ただ戦略的にはいずれも疑問符が付き、特にミッドウェイ海戦の目的が、

 

・ミッドウェイの占領

・米国空母の撃滅

 

 のどちらにあるかが不透明な点が気に入らない。本来後者であるべきで、太平洋の空母を一時的にゼロにできたら次の作戦に移るのがいいと思っている。それはミッドウェイ諸島が極めて守りにくいサンゴ礁だからだ。ここを占領して航空基地を設けても、ハワイに近く連日の空襲を受けて補給もままならないのは明白である。

 

 少しスケールは違うが、尖閣諸島もミッドウェイと同じようなポジションにある。このところ南シナ海台湾海峡に加えて尖閣周辺でも中国艦船の動きが激しい。中国が尖閣諸島に上陸・占領するとの見方をいろいろな人が持っていて、有名な軍事評論家田岡氏が「尖閣戦闘では敗戦必至」と述べている。

 

https://dot.asahi.com/aera/2020090900028.html?page=1

 

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 周辺の航空基地から出撃できる航空機の質・量から、中国軍が制空権を持つと予測。せっかく整備した日本の「水陸機動団」も尖閣に近づくことも出来ないだろうという。かりに上陸できても補給が続かず、餓死か降伏だとのこと。

 

 僕はこれには違和感があって、餓死か降伏は中国軍の方だろうと思っている。ミッドウェイがハワイからの空襲を受けるように、尖閣はアジア最大の航空基地嘉手納の制空圏にある。一時期中国本土や軽空母からの航空機で制空権を獲って上陸を敢行しても、長続きするとは思えない。田岡氏の論説は、日米の集団的自衛権がない前提で成されているように見える。加えて日本には、世界に冠たる静粛なディーゼル潜水艦がある。兵站を運ぶ中国の輸送船団は、台湾北方海上で甚大な被害を受けるだろう。

 

 中国が尖閣占領に乗り出すとしたら、米軍が参戦しないという確証があり、リスクをとるだけのメリットがこの島に無くてはならない。そのメリットって、習大人のメンツ、海底資源・・・他に何があるのでしょうかね?