Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

情報の価値で、収監2~20年

 ソフトバンク元社員がロシアのスパイに情報を漏洩したとして起訴されていた事件が、先日結審した。判決は来月言い渡される予定だ。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60434850W0A610C2CC1000/

 

 被告人の罪状は通信設備構築のための作業手順情報を、ロシア大使館の外交官に渡したというもの。容疑は不正競争防止法違反である。当然それを受け取った外交官にも容疑がかかり同法教唆の疑いで書類送検されているが、外交官特権もありとっくに出国し日本の司法の手は届かない。

 

 結局は情報を渡した方の元社員だけが、40万円の報酬と引き換えに「懲役2年、罰金100万円」の求刑をされることになった。罰金はともかく、外国のスパイまでからんだ事件で「懲役2年って短くないか?」と思った人も多いと思う。要はその「情報」の価値がどれほどのものかにかかっているのだが、それを計る基準も明確なものはない。

 

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 一方そのロシアだが、こちらも情報漏洩で裁判があった。こちらは北極科学アカデミーの会長職にある高齢の科学者が、潜水艦探知の情報を中国側に漏らしたとして起訴されているというもの。

 

https://www.afpbb.com/articles/-/3288707?cx_part=top_category&cx_position=1

 

 こちらは「情報」が国家機密にあたるとして、反逆罪に問われている。もし有罪となれば、禁錮20年の罪だという。同じスパイ的情報漏洩でも、これほど罪状に差が付くのかと驚いた。もちろん過去に「東芝機械事件」というものがあって、工作技術がソ連に流れて同国の潜水艦のキャビテーションノイズが下がったことがあった。安全保障となれば重罪とするのはわかる。

 

 しかし今や民生技術もどこで軍事技術に転用されるかわからない・・・いやもうその垣根はない時代だ。総じて「情報」の価値とその窃盗に対する罪を重くする必要があるのではなかろうか。

 

https://nicky-akira.hatenadiary.com/entry/2019/11/04/150000

 

 以前から、現行法規では無体財物たる情報の窃盗は罪ではないと警鐘を鳴らしてきた。いよいよ「情報」そのものの価値を認めこれへの悪事を裁けるようにしたいものです。