Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

「独裁者に死を」って言える!?

 ウクライナの民間機がテヘラン近郊の空港を飛び立った直後に、イラン軍の誤射によって撃墜された。乗客乗員176名、全員が助からなかった。ちょうどその時期僕らも海外旅行をしていて、ニュースを聞いて他人ごとではないと思った。

 

 米国・イランの軍事的緊張が高まっていて、いつ戦火がおこっても仕方がない状況である。現に事件の日、イランは(手加減したかどうかは知らないが)隣国イラクの米軍基地をミサイル攻撃している。だからテヘランの空を守る高射砲や地対空ミサイルの部隊は、高度な警戒態勢にあったはずだ。

 

 そのレーダーに民間機の機影が映りそれを米軍の攻撃機と誤認したのは、僕は責められないと思う。鹿と誤って仲間を撃ってしまったハンターのようなものだ。もちろん敵味方/民間機の識別信号をどう扱っていたかなど、調べるべきことは多い。緊張状態にあったとしても、ミスはミスとして関係者の処分というのも当然だと思う。

 

    f:id:nicky-akira:20200113201743j:plain

 

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/01/post-92124_1.php

 

 しかし驚いたのは、「アメリカに死を」と叫んでいた世論が、「独裁者に死を」と180度方向転換してしまったことだ。「独裁者」とは最高指導者ハメネイ師やロウハニ大統領など首脳陣を指すのは、疑いがない。上記の記事は、Web上でそう叫ぶ映像を引用して、そもそもアメリカに死を・・・という団結そのものが誇張ではないかと主張している。

 

 いくら軍の隠蔽(それもたった3日間だよ)が疑われるとしても、いきなり「独裁者の死を」と首脳陣を弾劾するところまで世論が飛躍したのに、僕は驚いたわけだ。記事は直近に迫ったイランの選挙のことにも触れていて、政策に影響を与える選挙ではない(!)が首脳陣は困るだろうと述べている。

 

 選挙が政策に影響しないという問題はあるにせよ、意外とイランは民主的なのだなというのが僕の感想。そういえばかつてのサダム・フセインも選挙で支持されていた。投票率99%というすごい選挙だったが・・・。

 

 翻ってアジアの超大国である中国。そこで「独裁者に死を」なんて言えるだろうか?言ったとしても、映像はもちろん本人まで消されてしまうのは疑いがない。トランプ先生に申し上げたい。イランごとき相手にしてしていないで、13億人の国の民主化に本気で取り組んで欲しいです。