Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

自衛隊法第八十四条の四

 アフガニスタンの首都カブールを無血占領し、かなりの地域を制圧したタリバンだが、統治にいたる道は遠い。やはり北部ではタリバンに抵抗する有力な組織・部族が残っていて、再び「北部同盟」と言われているらしい。20年前にもマスード司令官率いるこの同盟軍は、タリバン撃退に一役買った。司令官自身は殺害されてしまったのだが、今回はその息子が指揮をしているらしい。一世代経ったということだ。

 

 加えてタリバン自身も一枚岩ではない。広報は「女性の権利」というものの、末端組織は以前同様の行動様式だ。「すべての外国組織に恩赦」といいながら、外国のジャーナリストを襲っている。

 

 当面する課題としては、カブールから脱出を図る人たちの救出。G7会合でも協力してこれらの人達を救出しようと、話がまとまった。米国は民間機まで投入して、このミッションにあたる。では日本はどうするのか?

 

自衛隊機のアフガニスタン派遣へ調整 日本人職員など退避へ | アフガニスタン | NHKニュース

 

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 大使館員は外国機で脱出させたが、まだ民間の日本人や日本大使館に協力してくれた現地の人達が残っている。彼らを救出するため、自衛隊機(多分C-2かC-130)を送ることを計画中だとある。「調整中」とは、このミッションが自衛隊法上できるかどうか微妙なのに関係があるのだろうか。

 

自衛隊法第八十四条の四

 防衛大臣は(中略)生命または身体の保護を要する邦人の輸送依頼があった場合において(中略)当該輸送を安全に実施できると認める時は、当該邦人の輸送を行うことができる(以下略)

 

 今回のケースで問題になりそうな点は、「安全」が前提となっていることだ。「安全」なミッションなら、空自のC-130など必要ない。青い日系航空会社の「フライング・ホヌ」の方がよほど大勢乗れる。民間では危険なミッションなので、訓練され装備もある自衛隊に行ってもらうべき。こんな矛盾がなぜ起きたかと言うと、1994年にこの条項を付ける改正をしたのが村山内閣だったから。社会党はじめ護憲勢力は海外派兵につながるとして、「安全が確保できるなら」輸送できるという縛りを付けた。

 

 野党の皆さんの求めに従って臨時国会を開き、本条項の改訂ができませんかね。安全条件を外し輸送できるように。よもや枝野代表も反対はされないでしょうし。