Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ムッソリーニの憂鬱

 ドイツ・ソ連・日本・フランスと、第二次大戦に登場した戦車を紹介してきた。今回は(あまり気は乗らないが)イタリア戦車を取り上げたい。イタリアは、降服寸前となったフランスを見て「バスに乗り遅れるな」と参戦したものの、確たる戦略目標や戦争遂行の指針があったわけではない。
 
 燃料の備蓄も、戦闘部隊の訓練も、その配備も全く遅れていた。額面上は相当の戦力を地中海中心に持っていたはずだが、実戦力は大したことはなかった。一般にイタリア軍は、小さな部隊ほど善戦し大きな部隊ほど役に立たないという困った特性を持っていた。
 
 海軍で言えば、巨大戦艦は臆病風に吹かれて逃げ回り、一人乗りモーターボートやフロッグメンが活躍するという次第。カッコよいことを好むイタリア貴族は、単身では存分に暴れまわるが集団戦術などは頭にない。近代戦には向かない国民性とも言える。
 
 威勢だけは良く、ファシズム国家の樹立ではヒトラーより先輩だと認識しているムッソリーニは、自前の艦隊や機甲師団を並べて悦に入っていた。ところが、その実態は「張り子のトラ」だった。主な戦車は右から順に、

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 ◆L3/35戦車
 兵装:8mm機関銃×2(火力4)
 装甲は極めて薄い(正面1・側面他0)
 移動速度:13ヘクス/ターン
 
 ドイツのⅠ号戦車に相当する、機関銃装備の軽戦車。非常に小さく、被弾の可能性が低いのだけが取り得。
 
◆M13/40中戦車
 兵装:47mm砲、車体機関銃(火力4)、同軸機関銃(火力4)
 装甲は薄いが、当時としては貧弱とは言えない(正面3・側面他3)
 移動速度:11ヘクス/ターン
 
 前年制式化されたM11/39は、主砲が回転砲塔に載せられず、使い勝手が悪かった。それ以外にも改良をほどこして、まずみられる程度にしたのがM13/40。1940年に制式採用された、13トン級戦車という意味である。北アフリカなどでイタリア軍の主力として戦ったが、ロンメルの頭痛のタネであったことも確かである。
 
◆セモベンテM42 75/32
 兵装:75mm砲、対空機関銃(火力2)
 装甲は薄いが、車高が低く敵弾にあたりにくい傾向はあった(正面3・側面他3)
 移動速度:13ヘクス/ターン
 イタリア軍の中で一番まともなAFVであるが、戦車ではない。砲塔が無く、ドイツ軍のⅢ号突撃砲に似ている。装甲が不十分なので敵陣に肉薄するのは不安があるが、75mm砲はそれなりに使えたから自走砲的な用途はあった。イタリア降伏後もドイツ軍はこの車両を接収して使っていた。
 
 まあ、このような鉄のカンオケに乗ることはイタリア貴族としては我慢できなかっただろうから、戦車隊の士気は決してあがらなかったと思う。