Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

日欧ICT戦略ワークショップ(前編)

 この週は国際会議が目白押しである。今日は総務省主催の「日欧ICT戦略ワークショップ」という国際会議が神保町の会議室で行われたので参加した。この会議、7年ほど続いているという。日欧の政府当局(日本は総務省欧州はDG-Connect)が主催で、年1〜2回場所を交換して行われる。

 

 本番は両政府間の会合なのだがその前に民間企業も入れた会合をするのが特徴。デジタル政策については政府だけでは難しい面があるとして、日米などでも同様に官官会合のほかに官民会合が計画されているものだ。ICT政策分野は早くから「マルチステークホルダー」で議論すべきとの意識が政府側に強い。政府の頭が柔らかくなったとも言えるが、変化が激しすぎて役人の手に余るという意見も(役人OBから)聞かれる。

 

 僕も7年前の最初から末席に名を連ねていて、その変遷も見てきた。今回会場に入って感じたのは、参加者が増えたなということ。メンバー表を見ると特に欧州側企業の新顔が目立つ。Siemens Ericsson Nokiaらは以前にも見かけたが、今年はBooking-com BMW SAP Elsevierらも来ていた。GAFA(+M)のような巨大IT企業がいない欧州では、ICT政策対話といっても民間の関心は低かったのかもしれない。しかし、それも過去の話になりつつあるようだ。

 

 その結果、会合の内容も以前よりずっと多くの議論・意見交換があり、日欧双方の企業の発言が増えたのが好ましい。議題としては、AI、サイバーセキュリティ、5G、標準化、データ活用、個人情報保護などが幅広く設定されていた。

 

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 最初のテーマはAI(人工知能)。便利なものであるのは確かだが、使い方を誤ると人類に不幸をもたらすかもしれないものとの警戒感も市井にはある。これは日欧とも同じなので、両政府はやはり「AIの倫理」とか、「説明責任」を求めると言い出した。すると日本の産業界から、

 

・個人情報をInputして結果を得る(例:就職の合否判定)ならそれもいい

・しかしMachineデータ(例:機器の振動)利用でも説明責任があるのか

・個人情報と非個人情報の境目があいまいなので、全部個人情報とされては困る

 

 との意見が飛んだ。以前、聞いた話と同じである。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2019/11/21/140000

 

<続く>