Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

懐かしい店「たからや」

 方々にあるブランドや金券等を買い取ってくれる「おたからや」ではない。国分寺駅前にずっと昔からある質店が、この「たからや」である。僕が社会人になってそれまでの勝手気ままな学生生活に終止符を打ったのは、38年前のこと。入社式の後、2週間の集合教育があり配属先を示されたのは、卒業した大学からほど近い田舎町。

 

 配属先の事業所での導入教育も2カ月以上に及び、その間は勝手知ったる街に繰り出して遊び放題である。実家も遠くないので独身寮には最低限のものしか持ってきていないし、それで十分だった。夏休み前に配属が決まり、部長と課長に面会したのは9月の声を聞くころになった。それでぼちぼち仕事を始め・・・と思っていたら、その課で新製品の開発を特急でやることになった。しかも最初から作っていたのでは間に合わないので、試作品を作った研究所に行ってもらってこいというご指示。

 

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 もちろん郵送してもらってどうにかなるものではなく、設計図はもちろんその意図まで含めて技術を習得して戻らなくてはいけない。短期間でできることではなく、配属1カ月で東京へ派遣になってしまった。その時の派遣者用の寮があったのが国分寺駅の近く。初めて実家を遠く離れて数カ月暮らすことになった。

 

 それもしっかり準備する時間はなく、決定後次の週に入ったばかりの独身寮から派遣者用の寮に荷物を送る。結局着替えとほんの身の回りのものだけ送れただけだった。派遣先で2日ほど過ごし、最初の週末になった。さすがに目覚まし時計やラジオくらいは揃えようと街に出て見つけたのが駅前路地を入ったところの「たからや」だった。付近に半導体の事業所などがあって、試作半導体をベースにしたタイピンなどが売られていたのを覚えている。

 

 また数カ月したら田舎町に戻るのだから、立派なものはいらない。質屋で十分と思っていくつか「家財道具」を買った。ただその時何を買ったかは覚えていない。何度か転居するうちに無くなってしまったものばかりだったからだ。今回久しぶりに国分寺に行き、駅前の変貌を実感したのだが、路地裏にあるこのお店は少し立派になっていた。懐かしくはあったのだが、何か買うという気にはなりませんでしたね。あしかけ40年を少し振り返っただけです。