Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

G20デジタル分野での議論(3)

 例えば中国は「Secure Free Flows of DATA」を主張し、DATA流通に国家の関与を求めた。これに前議長国アルゼンチン、前々議長国ドイツが猛然と反発、結局「Ensure Free Flows of DATA」という表現に落ち着いたという。このような細心の文言調整(しかも英語で!)を経てなんとか合意できる文言にたどりついたわけだ。

 

 とかく日本の調整中心の姿勢は他の分野でも中途半端との批判もあったが、米中両国を含めた合意にこぎつけたことは評価できる。ただこれはあくまで「総論」レベルの話、「各論」としてデータ越境に関する国際的なルール作りが求められた。

 一方貿易デジタル大臣会合ということで、WTO改革の話も重要なテーマになっている。僕はあまり知見がないのだが、WTOの諸般の規定が古くなっていて特にデジタル経済の発展についていけなくなっていることは想像できる。特に問題視されているのが電子商取引に関すること。国際貿易でなくても、国内の電子商取引でも規制改革をやっているが、それと同じこと(あるいはそれ以上のこと:関税とか)が求められよう。

 

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 これらの貿易デジタル大臣会合の結果はG20サミットにインプットされ、いよいよ首脳会議でどういう文言で採択されるかのヤマ場に至った。僕の関心事は上記「データ越境に関する国際ルールの各論」なのだが、データ流通のルール作りそのものも20カ国合意には至らなかった。ちなみに反対したのは中国ではなく、もう少し経済規模の小さな国が3つ。どうもデータ流通自由化によって、一方的にデジタル先進国側に「搾取」されることを怖れたらしい。

 そこまで聞いて、「え、ちょっと待ってよ。安倍総理を真ん中にトランプ先生と習大人がぎゅうづめになって会見してたじゃない」と思った。すると、あれはG20前の非公式会合で、メディアによってはこれをG20の開会と報道したため誤解されているという。

 

<続く>