Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

「憲法論議」という甘い罠

 国民民主党玉木代表が、「私は生まれ変わりました。憲法改正論議を進める」と発言してひと騒動起きている。今回の盛り上がらなかった参議院議員選挙では、明確な勝ち負けはつかなかったが、日本維新の会が伸びる反面国民民主党議席を減らした。ある意味「中道」といえる両党の明暗を分けたものは、僕はスジが通ってブレない「維新」と正体が見えない「国民」の差だったと思う。

 

 安倍総理は選挙結果が全部明らかになる前に、「憲法論議を進める」として各党に参加を呼び掛けた。メディアは開票速報で「参議院改憲勢力2/3は難しい」と言っているさなかに・・・である。結局参議院では2/3には4議席足りないということになった。

 

 安倍総理の「党派を超えた議論」という意向は正しい。ただこれにはウラがあると思われる。どんなことがあっても憲法に触れてはならないという護憲の党もいるから、全ての政党が(議論だけだとしても)呼応するはずはない。かつての民主党の護憲に近い人たちは立憲民主党(政党名からもわかりやすい)に行ってしまったから、呼びかけの対象は「中道」2党が中心になる。「維新」は以前から憲法改正に前向きだから、フォーカスがあたっているのは「国民」である。

 

 ちょうどいいことに、2/3には4議席足らなくなった。「国民」がここに加われば、2/3を超えることになる。玉木代表としては、自分がキャスティングボートを握ることができると考えたのではないだろうか。安倍総理自民党総裁任期は来年までだし、自らの手で「憲法改正」をスタートさせたい総理は、多少の無理は聞いてくれると見たかもしれない。

 

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 僕はこれは「甘い罠」ではないかと疑っている。実際に「憲法改正」をやろうと思っても、与党内にはこれに慎重は公明党がいる。本来彼らを改憲勢力と考えるには無理がある。だから総理は本気で憲法論議をしようというのではなく、国民民主党や無所属議員を切り崩すために憲法論議を言い出したのではなかろうか?

 

 選挙期間中、玉木代表は「機動戦士ガンダム」のアムロのコスプレで現れたというが、アムロ曹長はエースパイロットではあるものの前線の兵士。大局が見える立場にはなかった。ジオン公国ギレン・ザビ総統のコスチュームで出てきてくれれば、僕も少しは見直したかもしれませんけどね。