Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

G20デジタル分野での議論(1)

 あるところで、B20やG20の成果について直接合意文書のとりまとめにあたった人たちから話を聞くことが出来た。分野をデジタル経済に絞ったもので、聴衆はほぼ全部インターネット経済系の人たちである。霞ヶ関の人によると、2016年高松でG7デジタル大臣会合を行ったのがデジタル関連を特に切り出した初めてのケースだったという。そこでは、

 ・情報の自由な流通
 ・AI(人工知能)の国際的な議論
 ・包摂的成長(SDG's)

 がテーマになっていた。「自由な流通」を求めてきた日米の産業界だが、ちょうどTPPの草案(第14章電子商取引)に「自由な流通」が盛込まれたころであり、国際的な議論ができた最初ともいえる。AIについては、技術の発展に対して市民の中に「スカイネットが現れるのではないか」との危惧があってAIが暴走しないように国際社会がちゃんと議論し制御ようと言うものだし、SDG'sというのもデジタル技術がその実現に寄与できるという意味のテーマ設定だった。

 

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 以降、G7はイタリア・カナダを経て今年はフランスが議長国。G20は2016年には中国が議長国だったが、ドイツ・アルゼンチンを経て日本が今年の議長国になり、その全てでデジタル大臣会合が実施されている。B20に関する経団連の資料を見ると今年の全体テーマが「Society 5.0 for SDG's」だし、共同提言7項目の一番目が「Digital Transformation for All」になっている。40年間デジタル業界にいるものとしては、よくここまで広がってきたなと感慨ひとしおである。

 今年のG20、デジタル分野の会合のたてつけは「貿易デジタル大臣会合」だった。このため日本からは共同議長が3人(石田総務大臣・世耕経産大臣・河野外務大臣)立った。

 

<続く>