Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

多目的ダムという矛盾

 昨年の西日本豪雨では、いろいろな問題提起がされた。想定を超えた雨量が、これまでの治水の常識を覆したのである。その中で、僕が気付いたのが「ダムの放流問題」。愛媛県の2つのダムで容量を越えそうになったダムから緊急放流がされて、それが下流の水害を増幅したとの疑問である。放流の放送など周辺住民への情報提供が不十分だったのでは、など行政側へのメディアの追及が続いた。

 
 確かにあのような豪雨の最中に、防災行政無線(要するにスピーカーである)など聞こえなかっただろう。東日本大震災の後もこのような議論があって、「従来型のスピーカー設置では不十分、スマホなど含めた他の緊急警告の手段を考えるべし」という国会議員もいたが、そのような措置が取られているとは思えない。
 
 今回はそれ以前に、何故ダムの水位が越えそうになったかの方が問題である。大雨の予報は何日か前からあった。であれば数日前から少しづつ放流し、カラの状態で雨を待てば良かったのではないかと思う。僕は、ダムの運営機関もそうしたかったのだが出来なかったのだろうと思っている。それはこれらのダムは「多目的ダム」だったからだ。

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 ダムを建設するには多額の費用が掛かる、環境に与える影響も大きい。村を水没させてしまう事すらある。だから、いろいろな用途(多目的)に使えることを説明する必要がある。干ばつの時には水がめになります、豪雨の時には水害を防ぎます、水力発電ができます等々。
 
 その結果水位をどのくらいにするかという運用ガイドラインは厳しいものになる。干ばつ対策のための下限水位、水害対策のための上限水位、これ間のわずかな水位差しか運用側の裁量の余地がない。大雨が来そうだからと言って、下限水位を下回るような事前放流は出来なかったのだろう。
 
 今回の事件を検証するならば、このような点も考慮し運営側の裁量の余地を増やしてあげて欲しいと思います。