Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

AIの国際団体「GPAI」(前編)

 先月AI(人工知能)について技術的な課題と言うよりは、社会受容性の問題として「倫理」や「説明責任」の議論があることは紹介した。確かに未知の部分が多く、ブラックボックスに外側からは見え、かつ今後飛躍的に発展する可能性を秘めていることから、一般市民の不安感は大きいと思う。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2020/07/21/060000

 

 よく英語の「Accountability」を「説明責任」と直訳してしまったことで、日本での議論が欧米のそれとズレているという批判は聞く。ただの口頭による「説明」をすれば「責任」を果たせるものではなく、社会的な動物としての人間のあるべき姿を問うのが「Accountability」のように、僕自身は思っている。

 

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 しかし今や先端軍事技術の一つでもあるAI、野放しにしてはいけないと国際的な議論は進んでいると聞いていた。今回そこに参加している専門家の人から、国際活動についての状況を教えてもらう機会があった。その会合の名前は「GPAI:Global Partnership on AI」という。

 

https://news.yahoo.co.jp/byline/satohitoshi/20200615-00183550/

 

 この会合はフランス・カナダのTOP主導で進められてきたというが、それ以前からOECDのような国際機関では検討の場はあった。そもそも2016年のG7高松におけるIT大臣会合で、AIの研究開発に関するガイドライン策定を提唱したのは日本政府(当時の総務大臣高市議員)だった。その後OECDで検討がすすみ、2019年には「AIに関する理事会勧告」を公表した。その内容は、同年のG20茨城つくばデジタル大臣会合でも取り上げられた。

 

 AIは技術として発展途上、その「勧告」で十分だったとは思わないが、OECDが継続して議論することをあきらめたわけでもないのに、なぜ「GPAI」という団体が出来たのかは、僕には分からなかった。しかし上記の記事によると、

 

「価値観を共有する同盟国で中国のAIに対抗」

 

 が団体の目的。この時点で米国が入って対抗勢力は揃ったと言いたげだ。なるほどOECDだと中国なども入ってくるので、決議などにも限界があるわけだ。

 

<続く>