Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

駐在員の見る米中摩擦と日本

 今回の訪問先、最初は米国商工会(U.S. Chamber of Commerce)。ホワイトハウスの北にあるラファイエット広場の北に位置している。ここには毎年のように訪れていて、日米のデジタル政策について話し合うようになったのは足掛け10年前、その後格式高い(大仰なともいう)日米財界人会議というものに絡み始めて、頻度が増した。

 

 前者の会合はデジタル分野の産業中心だったのだが、後者になると全産業が関わってくる。前者は日米で共同声明など出しても、担当大臣(日本では総務大臣)に手渡すのが精いっぱいだが、後者は毎年欠かさず首脳(日本では総理大臣)に報告書を手渡すことになっている。

 

 デジタル政策に関して中央政府・業界団体と付き合い始めて20年近く。最初は旧メインフレーマと通信キャリアが集まって議論してきたことが、かなり広い分野で扱われるようになった。今年初めのダボス会議安倍総理が「Free Flows of DATA with TRUST」と言ったように、G20でもG7でも安全保障の話同様にデジタル政策が議論されてきている。

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 今回の会合もそれらの一環で「Free Flows of DATA with TRUST」などをテーマに、日米実務者レベルの議論が行われた。日本企業からの参加者の半分は現地駐在の人たち。ロビー活動や情報収集のためにDCに事務所を開いている企業は少なくないし、中にはシンクタンクに要員を派遣しているところもある。

 

 まず日米の議論の前に日本人同士で意見交換しようと、事務局が朝食は日本人だけにしてくれた。そこでの議論の中心は米中対立。DCにいると米国のいろんな人たちに会えるので、極端なものも意見を含めてどう考えているかを聞くことができる。駐在の人たちから見ると、米中対立にあたり日本は「Show the Flag」を迫られている由。

 

 以前述べたように、米中対立について日本は9対1のスタンスで臨むべきだと思っているのだが、駐在の人たちからは「早くそう公表してくれ」とか「なぜ10対0じゃないんだ」という意見が出るだろう。もちろん、一介のデジタル屋が公式の場で言うべきことではないので黙っていた。駐在の人たちの危機感はよくわかったのだが、この話一朝一夕に解決しない。今後もDC駐在の人たちから教えてもらうことは多いでしょう。え、北京駐在員はどうかって?もちろんご意見伺いたいですよ。