Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

30年前と今の、中国民主化

 天安門事件のころ僕はまだ30歳台前半、小さなマンションで一人暮らし。日曜日は朝からずっと政治番組を見ていた。10時からは「サンデー・プロジェクト」、ジャーナリスト田原総一郎氏の司会で、正午近くまで時事ネタを聞きながら好きなことをしていた。ベルリンの壁崩壊、ソ連解体、湾岸戦争やその後のペルシア湾掃海艇派遣問題など、冷戦が終わってダイナミックに動く社会を、シミュレーション・ウォーゲーマーの視点で見ていた。

 そんな中で、中国民主化のうねりが頂点になったのが天安門事件。戦車の前に立つ男の姿や、暗闇に飛び交う曳光弾、バリケードを弾き飛ばすAFVなどの映像はいまでも覚えている。あの時民主化の扉を閉ざした中国は、その後共産党体制のまま資本主義に近いビジネス活動を続け、今やGDP世界第二位の国である。

 

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 以前の政権では民主化に近い政策が採られたこともあったのだが、現政権は体制の引き締めを続けインターネットの検閲など「Great Fire Wall」を下ろす気配はない。米中対立が先鋭化し必然的に長期化する中で、中国の市場やお取引先を持つ日本企業はどういう立ち位置にいるべきか悩んでいる。

 そんな中で迎えた「天安門事件30周年」、米国に「中国の民主化を進める目的のシンクタンク」があるという記事が出ていた。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019052900810&g=int 

 元は天安門学生リーダーだった中国人が中心になっていて、インタビューに「共産党に希望を持つな」としながらも、2つの望みを話した。

 ・習主席の強権的手法は共産党内部に軋轢を生む。
 ・深刻な社会矛盾と経済の減速は、政府と民衆の衝突を生む。

 とのこと。これはしごく真っ当な意見だ。古来強権的な政治は、市民の民度が高くなると民衆蜂起によって倒れる。かといって愚民化政策を採れば、経済を中心に国力が衰える。前者はフランス革命はじめ多々例があり、後者は直近のものとしてはソ連崩壊が例となるだろう。今の中国政府のリスクを考えると、前者の例が近そうだ。

 

 とはいえ(そうなるとしても)相当長い時間がかかるだろうから、日本企業はその日の備えてスタンスを決めておくべきだろう。僕の感覚だと、中国に1、米国に9の比重で軸足をおくのがいいように思う。これはひどすぎるという経営者の方には、数値の平方根をとって1:3ならいかがかだろうか。戦力二乗の法則なら、これでも実質的には1:9なので。