Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

究極の暗殺兵器

 米国に初の黒人大統領が登場したとき、暗殺のウワサは絶えなかった。日本人作家である柘植久義すら「オバマ暗殺」をテーマにした小説を書いて(題名失念)いる。暗殺チームはいろいろなプランを並べ、タイミングの取りやすさ、準備の容易さ、成功確率、逃走の容易さなど多方面から検討を加えていく。結局、ホワイトハウスから空軍基地へ向かうヘリコプターを撃墜する案ともうひとつを選んで実行するのだが・・・。


 ケネディ大統領暗殺のように周到に練られた計画や、全斗煥大統領を狙った爆殺計画などはある程度軍事能力がないと実行できないものだが、素人でも厳重警備をかいくぐる方法はあると、30年ほど前に考えていた。友人のひとりがラジコン好きで、比較的大きなラジコンヘリコプターを飛ばしていた。よく回転翼をへしおってしまい、奥さんが「ペシっといったら、あxx円が飛んだ!と思う」とこぼしていたのを思い出す。

 

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 数キログラムのものなら運べるので、これに爆発物を積んで移動中の自動車に突っ込ませるのだ。仮に重装甲した車両でもルーフ部分は比較的薄い。重戦車ですら、上から撃ち下ろす20mm機関砲や.50口径機銃で破壊されることがある。そんな考え方を現実味あるものにしてくれたのが、昨今のドローン技術。

 「徘徊型ドローン」を滞空させておき、プログラムされた対象物を見つけたらそれに突っ込んで自爆させるというわけ。ラジコンと違うのは人間がコントロールしていないので見逃す可能性がほとんどないことと、電波妨害に強いこと。暗殺兵器としては、究極に近い機能・性能を持っているといえるだろう。これに狙われたら、さしものトランプ先生の戦車も危ない。

 この「徘徊型」というのがミソである。ある潜水艦小説に、「敵潜の通りそうなところに誘導ケーブルを切った電気魚雷を電池が切れるまで低速で旋回させておき、目標を発見したら突入させる」戦術が載っていた。このドローンの使い方は「安価な巡航ミサイル」ということもできるし、「空中機雷」と名づけることもできそうだ。これにAI(人工知能)が組み込まれた日には・・・いや物騒な世の中になったものです。