Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

移民取締対策が関税とは!

 来年の大統領選挙に向けては、トランプ先生の所業は「なんでもあり」のようだ。新NAFTAの批准プロセスに各国が入っているというのに、メキシコからの輸入品に新たな関税をかけると言い出した。その理由がメキシコが関税をかけたとか貿易制限をかけたというならわかる。そうではなくて不法移民の取締りが不十分というのが理由だから、正直驚いた。

 

 メキシコの取り締まりが不十分だから「壁」を作るというのは愚策だとは思うが、ありうる対応のひとつではあろう。しかし不法移民は政治問題、関税は経済問題と分けて考えていた僕には、今回の措置は暴挙に見えた。まるきり「江戸の仇を長崎で討つ」ようなものではないか。

 関税というのも悪い面ばかりではない、トランプ先生にいうように「カネが政府に入ってくる」というのは好もしい結果ではないが、国内のやや弱い産業を守る役目はあるからだ。ただこれが未来永劫続くとなると、国内の弱い産業は弱いままになる公算が高い。ある時点では産業保護をやめ、グローバルに一番強いものを消費者が得られるように考えるのが近代の政治運営だ。守るべき軸足は産業ではなく消費者に移りつつあるということ。この流れで欧州ではECができEUになり、北米ではNAFTAが結ばれ、太平洋諸国はTPPを発効させたわけだ。

 

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 関税合戦になっている米中摩擦はさておき、メキシコにうなずけない理由で関税をかけたトランプ政権に対し、ついに全米商工会が怒った。提訴も考えているとの報道もある。無鉄砲に見えるトランプ政権だが、この2年余失業率は低く抑えられ、株価も好調だ。経済界としては、もう少し品良くできないのかとは思いつつ政権を支持してきた。

 

 米中対立もある意味仕方ないととらえていて、本来ファーウェイなどの安い製品を買いたいとは思っても政権はNoというならと排除に賛同した。しかし、今度と言う今度は・・・という次第。全米商工会の建物からは、公園をはさんでホワイトハウスが指呼の距離である。

 この業界団体がどれほど大統領選挙に影響があるかはわかりませんが、「不法移民・治安悪化」の理屈で関税に訴えたのが有権者にどう見えるかとのバランスで票が動くでしょうね。答えは来年の11月に・・・。