Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

代替わりする「王」と「神」

 米軍のアフガニスタンからの撤収が始まり、今年の9・11までには撤収を完了させるという。一方で南シナ海東シナ海、特に台湾を巡っての米中対立は緊張度を増している。先日のG7外相会合でも、7ヵ国が結束して台湾を守る方向性が確認されている。これらのことは米軍が主敵をテロリストやゲリラから、中国という大国に切り替えることを示している。それは当然米軍の編成や装備にも影響してくるのだが、すでに一部の改編は始まっているらしい。

 

自衛隊とは大違い、米海兵隊が取り組む新たな水陸両用戦の中身 伝統的水陸両用戦ではもはや対中戦に適合できない(1/5) | JBpress(Japan Business Press) (ismedia.jp)

 

 20年ほど前、米陸軍はそれまでの師団(10,000名ほど)をCombat Group(2,000名ほど)に編成し直す改革を行った。師団を戦線に輸送や配備することに時間がかかるのは、1990年代初頭の湾岸戦争で身に染みていた。イラクのような国相手ではなく、武装テロリスト集団と戦うのなら、空輸や補給も容易なCGの方が有利と見ての再編だった。

 

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 それが今度は中国のような大国を相手の海岸・島嶼争奪戦を想定して、まず海兵隊の装備を変えているという。それは、

 

・戦車を全廃、大口径榴弾砲も全廃

・代替えはロケットランチャーや地対空/地対艦ミサイル

 

 というもの。第二次世界大戦以降も「戦車は陸戦の王」だったし「砲兵は戦場の神」だったが、その時代は終わろうとしているらしい。もともと戦車とは自動火器で掃射される戦場で歩兵を守り、トーチカなどを制圧するのが目的の兵器。対戦車戦闘を考慮し始め大型化し「王」と呼ばれたが、50トンを超えるほどになると運用が難しくなる。砲兵は第二次世界大戦での陸上の戦死者の多くが砲撃によることから「神」とされたが、多連装ロケットランチャーで代替え可能である。

 

 この記事にはないが、AI搭載ドローンなどの無人兵器も実用化されつつある。(起きて欲しくはないが)次の大戦では、再編された戦力同士がぶつかり合うことになる。過去の例から見ると、何が勝敗を分けるかはやってみないと分からない。

 

 陸戦では主力兵器の代替わりは進みそうです。それでは3/4世紀ほど海上に君臨する「空母機動部隊」の代替えはどうなるのでしょうかね?