Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

漂流する民主主義(後編)

 共和党の屋台骨WASPの理想とは、昔のTVドラマ「大草原の小さな家」にあると教えられた。敬虔なプロテスタントで日曜礼拝を欠かさない一家で、お父さんは頼りになる働き者。困難があっても、知恵と努力で乗り越えていく。お母さんは専業主婦、子供たちを教え諭し温かい家庭を作ることに専心する。

 

 そういう理想ゆえだろう、共和党の大物議員の奥様はほぼ専業主婦。表舞台には出てこない。自らも弁護士として働いたヒラリー・クリントンや、もともとはオバマの教師だったミッシェル、バイデン次期大統領のジル夫人も英語学の博士号を持つ教師だ。このように民主党議員の家庭には、専業主婦の色が薄い。

 

 共和党の政策が間違っている面はもちろんある、銃規制反対や人工妊娠中絶反対などは見直すべきだと思うが、共和党の凋落はそれだけが原因でないことは前編で述べた人口動態とカルチャーの変化が示しているように思う。

 

 前回、そんな凋落している共和党に負けてしまった民主党側は、決して強力とは言えないバイデン候補をかついで戦いに臨むのに「郵便投票拡大」という秘策を編み出した。考案者はミッシェル・オバマだともいう。わざわざ投票所に足を運ばなくても投票できるので、投票率は上がる。

 

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 2016年のトランプ先生の勝因は、低投票率だったと紹介した。今回も30~35%の岩盤支持層をもつ相手に勝つには、投票率を上げればいいという理屈である。それは頭に当たり、両候補が7,100万票以上をとる激戦になった。

 

 さてバイデン・ハリスの次期正副大統領が揃ったわけだが、時代はミッシェル・オバマのものだと説明してくれた人は言う。今回の選挙での地方遊説、共和党側は当然トランプ先生を希望する地方ばかりだが、民主党側はバイデン・ハリスより、オバマ夫妻の方が人気だったらしい。ひょっとすると、なんらかの形で「入閣」することもあるかもしれない。そして4年を大過なく過ごせば、民主党の基盤はしっかり固まる。なにしろトランプ政権が認めていない「移民申請中」の1,100万人を新政権は受け入れる方針で、そうなれば1,000万票が民主党に増えることになるのだから。

 

 ただ今回上院・下院選挙では共和党は善戦した。大統領選挙では勝ち味はないとしても、オールブルーではまずいと有権者も知っているのかもしれない。まあ、とりあえずは米国民主主義が漂流をやめることを期待するだけですがね。