Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ドイツよ、お前もか!

 5年に一度の欧州委員会選挙の結果、イギリスの与党と最大野党の両方(!)が大敗して、民意と議会構成に激しいネジレが出来てしまったことは以前紹介した。目を転じて大陸側に行くと、ドイツでも似たような事態が起きている。そもそも昨年バイエルン州の選挙でメルケル党首の与党が大敗、メルケル党首はレームダック化していた。メルケル党首のCDU/CSUキリスト教民主同盟)と連立を組むSPD社会民主党)も衰勢なのだが、今回の欧州議会選挙では両党とも大敗、SPD党首の辞任騒ぎにまでなった。

 とはいえ極右政党AfD(ドイツのための選択肢)は予想ほどは伸びず、一気に政局流動化とまではいかなかったものの、中途半端で政治空白をつくるだけの結果に終わった。というのはCDU/CSUSPDの中道連立がもたないかもしれないと思われるからだ。このところ与党にいることだけが目的のようにみられて支持率が下がり続けているSPDは、この際与党を脱して「言いたいことを言いたい」と思うはずだ。このほかの有力政党としては、エコ原理主義者のような「緑の党」があって、SPD離れの票を得て隆盛である。しかし彼らも、容易に政権に入ろうとはするまい。少数与党になってメルケル退陣も決まっているCDU/CSUの単独政権に何かが出来るとは思えない。

 

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 それでも現政権の任期は2021年まである。政治空白はあと2年続くかもしれないのだ。そこで出てきたのが総選挙前倒しという考え方。直近の民意をドイツ連邦議会にも反映して、新しい連立(どの政党も単独過半数は難しい)政権を目指すガラポンをやろうじゃないかということ。欧州は、ロシアからの軍事的脅威、ロシアに依存する度合いの高いエネルギー問題、中東やアフリカからの移民・難民問題、欧州委員会の中の格差問題など悩むことだけは一杯ある。それでも欧州委員会連邦政府(議会)・州政府(議会)の三重構造は、政治的複雑さの課題を露呈したようだ。

 ひるがえって日本、連立与党という立場に慣れてor倦んで調子の良くない公明党の懇願を振り切って、衆参同日選挙の公算がある。イギリスやドイツの例を見ていると、ここらですっぱりということで解散風が吹いてきたかも・・・永田町の雰囲気が違います。