Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

スマートメーターのデータ活用

 各戸の電力メーターはその家に取り付けられていて、毎月の使用量は検針員と呼ばれる人たちが巡回して記録していた。僕の両親、伯父、いとこたちの何人かは電力会社勤務だったから、第二次世界大戦後の電力会社のことは他の人より多少は詳しい。

 
 検針員が集めたデータは、それをもとの料金を計算する部署に送られて、各戸あての請求金額が確定する。その業務のため、大勢の若い女性たちが大部屋でそろばんを一日中動かしていたらしい。彼女たちを「解放」したのが当時最先端の技術だったコンピューター、iPhoneの1万分の一ほどの性能しかなかったと思うのだが、何十人あるいはそれ以上の女性たちに代わって計算をした。
 
 社員は本店(電力会社は今でも本社をこう呼ぶ)の一角に現れた空調の効いた、一般社員の入れない部屋で白衣を着た白人(オペレータやね)が働いているのを、目を丸くして見ていたようだ。そのころから考えると、社会のデジタル革命はものすごい勢いで進んだと考えるべきだろう。
 
 20年近く前から構想はあったのだが、ついに各戸の電力使用量をリモートでリアルタイムに収集できるところまで来たのだから。さてこのデータだが、単に料金計算だけにつかうのではもったいないと、当時から関係者は思っていた。
 
 電力会社の中での業務改善やマーケティング、新規事業等に使うだけでなく第三者にも提供できて彼らがビジネスを改善したり興したりできるのなら、データの意味は大きくなる。ただ個人情報でもあるし、15年前はどう扱うべきか議論はすれどアクションにはつながらなかった。
 
 昔ある企業が電気自動車のアクティブなデータを第三者に販売する計画を発表するや、炎上してしまったこともある。そのクルマに乗っている人もそうでない人も、「他人のデータで企業が儲ける」のはけしからんという思いだったのだろう。今回は企業たちだけでなく、経産省が何らかの指針なりモデルなりを提示することで「企業が勝手に」という雰囲気を打ち消すことにになるかもしれない。

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 データ活用アイデアがいろいろあるのだがひとつだけ昔あったアイデアをお話ししよう。それは世帯の電力使用量を、エリア毎にくくった平均値を示すこと。これを百貨店やスーパーマーケットが知りたがるのだ。電力使用量の多い家庭は裕福な家庭という相関関係はそれなりにあり、たとえばお中元のチラシを配るのに地域毎の富裕度を測って「松・竹・梅」の区分をして効率化できるという。どこかでもうやってますかね。