Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

1・2・3より3・2・1

 農林水産業の振興は、これからの日本経済にとって重要な意義を持つ。日本経済は、最近第三次産業が少し隆盛なように思うが、やはり第二次産業主体の偏ったポートフォリオに留まっている。日本の第一次産業産品には国際的に注目されているものもあり、期待もある。しかし全体的に就労者は高齢化し、将来は暗いと思われている。

 

 かなり以前から、「第一次産業の6次産業化」ということが言われてきた。1+2+3=6なのか、1×2×3=6なのかは知らず、農産品などを単に産するのではなく、加工・流通まで含めてセット産業としようというもの。これは基本方針として、間違っていない。例えばこれまでのコメ農家はコメを作るだけ、農協の指示に従い本来は販路である農協だけを顧客として生産に従事してきた。
 
 このような「産業」である第一次産業が単なる生産業から本当の産業になるには、加工・流通まで含めたサプライチェーン全体を考える必要がある。ただそのアプローチには2つの道がある。
 
◆1・2・3
 どのような産品が作れるか、売りたいかから発想し、そのための加工手段や販路を開拓する。
◆3・2・1
 最終的に何を消費者に提供するかを考え、そのためにどういう流通プロセスや加工手段を選んでこれに向いた産品を開発・生産する。
 
 どちらが優れているかは、自明であろう。例えばリンガーハットの「ちゃんぽん」。リンガーハットは以前から安全・安心な国産野菜にこだわり、自家生産を続けてきた。同社は消費者に直接向き合っているので、「3」としての出口を知っている。何が求められるかがわかるから、そこから逆算して「2」のプロセスと「1」のやるべきことを決める。この方法なら、適切な生産品の質×量を計画できる。
 

    f:id:nicky-akira:20190418181417j:plain

 昨今は圃場の管理もデジタルで行うケースがあるように、「1」の分野もデジタル化が進んでいる。もともとある程度デジタライゼンーションの済んだ「2」「3」の業界も含めてデータ流通・活用ができればその合理化や付加価値向上の機会は十分にある。しかし基本を押さえる必要はあって、シーズではなくニーズから考えること。
 
 製造業の世界でもよくあるのだが、「こんなものができました」と事業化しようとするヤカラがいる。こういう連中が、多くの場合ビジネスを歪めているのだ。