Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

中国が迫られる「デジタル開国」

 いよいよ今月日本が初の議長国を務めるG20大阪サミットが開催される。来週には、僕にも縁の深い「貿易デジタル大臣会合」がつくば市で行われる。デジタル分野の争点は、どうしても「Cross Border DATA Flows」になるだろう。昨年のG20でも、「Great Fire Wall」を立てて自由な情報流通を認めていない中国に対して、各国が「デジタル開国」と言うべきものを迫ったのだが、中国はそれを認めずG19になりそうなところまで緊張が高まったと聞いている。

 

 「デジタル開国」とは何かというと、国家機密や企業の機密事項、個人の機微なプライバシー情報などの例外はあるが、普通の情報は世界中のどこにいてもだれでもアクセスできるし、同時に情報発信ができるという世界に、中国の人も入ってきてほしいということだ。これは日米欧の世界では当たり前なのだが、それをいいことに中国(企業)は日米欧からの情報は見放題、しかし自分からは一切出さないというのでは双方向性が成り立たない。日米欧の企業はこれを怒っている。一方中国政府から見ると、違う価値観の日米欧の情報がなだれ込んできて、市民が「間違った?」考えにとりつかれて、再度の「天安門事件」など起こされては困るということだ。

 

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 30年前とは市民の間で交換される情報量が数桁はずれの規模になっていて、その伝搬速度や広さも比較にならない。また新疆ウイグル自治区チベットなど現政権に不満の多い地域・民族も少なくない。都市と地方の格差も拡大しているし、都市のなかでも貧富の差が広がって市民の不満も少なくない状況である。中国政府は充満した可燃性ガスに何らかの火が引火しないか、かなり神経質になっているとも聞く。

 

 日米欧はじめ各国は、中国に「Cross Border DATA Flow」を求め「デジタル開国」を迫るだろうが、この1カ月中国がどのように反応し、どんなメッセージを出してくるかに僕は注目している。