Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

トランプ先生の「戦車」

 従軍経験もなく(どう見ても)軍事知識もないトランプ先生だが、自分の身を守ることにはそれなりに長けておられるようだ。今回の来日でも大統領専用車「ビースト」で東京の街を走り回ったらしい。「ビースト」の重量は7トンほど、GMが自信をもって1ダース製造するというこの「戦車」の開発費は1,580万ドルと聞いた。トラックの骨格をぶ厚い防弾ガラスと装甲版で被い、ABC戦(放射能生物兵器化学兵器)にも耐えられる仕様を詰め込んで、キャデラックに似せたクルマである。

 大統領専用車が重装甲をするのは当然の成り行きだが、「ビースト」はバズーカ砲にも耐えられる設計である。バズーカ砲というのは第二次世界大戦中に登場した「肩でも撃てる75mm砲」で、砲ではなく砲弾に特徴がある。

 
 先端がろうと状になっていてそこに火薬が詰まっている。対象物に命中すると火薬に火がつくが、爆発力は「ろうと」に反射されて前方に集中する。つまり凹面鏡が光を集めるように、前方の1点に熱が集結するわけだ。その結果相当厚い装甲版の1点に熱が集中して焼ききれ。高温のプラズマが対象物の中に噴出する。戦車などの場合は内部に火薬類があるから、それが誘爆してジ・エンドというわけ。火薬がなくてもガソリンに引火したり、高温で乗員が蒸し焼きになれば役には立たなくなる。

 では、どうやってこれを防ぐのか。ひとつの方法はプラズマ流を遮断すること。鉄に鉄をぶつけて衝撃力で壊そうという砲弾ではないから、装甲の中に熱を通さないものがあればこの砲弾は役に立たない。鉄板と鉄板の間のセラミック板をはさんだ「チョバム・アーマー」というのが一般的だ。プラズマ流は最初の鉄板は貫通するが、セラミック板で止められて内側までは届かない。
 

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 セラミック板に囲まれてダイエット・コークを呑んでいるトランプ先生というのもまあ滑稽なのだが、もちろん窓ガラスにはセラミックは使えないので万全とはいえない。ただ、代表的なテロリストの兵器RPG-7などは目立ちすぎて公道を持ち歩くことはできない。少なくとも警備の行き届いた国内(や日本)では携帯ロケット兵器までは気にしなくてもいいと思うのだが・・・。政治的プレゼンスゆえのオーバースペックかあるいはGMへのボーナスか?どちらでしょうかね。