Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ネット騒乱罪(?)で実刑判決

 先月末から続く英国の争乱では、騒乱・暴行・略奪・脅迫・武器携行などの罪で、400名以上が逮捕起訴されている。その中に「ネット上の不法行為」という類別があり、約7~8%はこの罪状で罪を問われている。代表的なケース(*1)は、

 

・「X」上に9万人以上のフォロワーを持つ男

・争乱を称賛し、人種対立をあおる記事を掲載

・「路上に出よう」と投稿した記事は、170万人以上が閲覧

 

 というもので、禁固3年の実刑判決が出た。被告は無職だが、「X」アカウントで毎月1,400ポンドほどの収入を得ていたとある。思想的なことより、カネに目がくらんで過激投稿をしたものだろう。捜査当局は「公衆の面前だろうが、ネット上だろうが、皆自分の行動に責任を持つべきだ」と語っている。

 

        

 

 運営企業がそれなりの管理(有害・過激投稿の抑制)をしているSNSが多いのだが、「X」はオーナーのマスク氏の意向で管理が甘い。過激(&虚偽)投稿の王様トランプ氏のアカウントを復活させるほどだ。

 

 「X」上にはこの被告人以外にも、多くのアジ書き込みがあったという。この後何人かには、実刑が下るだろう。加えて、いずれ「運営事業者の責任」が議論されるはずだ。各国で規制の動きが強まっていて、日本でも総務省の「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」が、中間とりまとめを出したところである(*2)。

 

 不適切な投稿を発見したら、まずは発信者に警告することから始め、視聴者への警告やコンテンツの削除、果ては発信者のアカウントの停止まで7段階の措置が検討されている。僕が注目したのは、2番目に「報酬の停止」が入っていること。早々にこの措置が採られるなら、カネ目当ての矢からは排除できる。

 

 英国ではそんな措置が考えられていないのでしょうか?それとも「X(≒マスク氏)」が受け付けてくれないのでしょうか?

 

*1:イギリス各地での暴動をあおった「キーボード戦士」に実刑判決、死傷事件めぐる偽情報を投稿 - BBCニュース

*2:コンテンツモデレーション(前編) - 梶浦敏範【公式】ブログ (hatenablog.jp)

  コンテンツモデレーション(後編) - 梶浦敏範【公式】ブログ (hatenablog.jp)