Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

富裕層でも外国人は要らない?

 何度か半蔵門の大使館を訪問し、年初にはロンドンで多くの政府機関やシンクタンクと議論させてもらうなど、縁が深くなっている英国。だからというわけではないが、来月4日の投開票に向けた、政策論争には注目している。与党保守党は非常に不利な闘いだと言われ、<リフォームUK>という右派政党のファラージ党首(*1)が立候補してさらに苦境に追い込まれている。

 

 ただ党首同士のTV討論もあり、論戦自体は大変面白い(*2)ものだ。格差問題、医療(崩壊)問題など課題は山積しているが、重いのは移民問題。スナク氏は「私が7月にも首相であるなら、ルワンダへの不法移民強制移転のフライトが飛ぶ。首相が私でなければ、フライトは飛ばない」と言った。野党労働党のスターマー氏は「国境警備を強化し、移民を組織的に送り込んでくる組織犯罪を撲滅する」と応じた。

 

    

 

 ここでいう移民とは不法か合法かを問わず、主にエッセンシャルワーカーのことだ。富裕層については高額の消費をしてくれることもあって、減税措置をするなどして誘致してきた経緯がある。ところが今回の選挙では、保守党・労働党ともに外国人富裕層への優遇措置を撤廃するとの公約を掲げたという。

 

英国の富裕層、夏の総選挙に慌てる-資産守るため急ぎ行動 - Bloomberg

 

 労働党に至っては、優遇措置撤廃に加えて増税も考えているとのことで、「ノン・ドム」と呼ばれるこれら富裕層が、海外逃避を図っていると<Bloomberg>が伝えた。2015年から見れば6割以下に減った「ノン・ドム」人口は、この分では2024年に半分以下になりそうだ。

 

 ロンドン金融街シティには、彼らを上客にしている金融機関が多くあるはずです。ますます景気を押し下げることにならないのでしょうか?あ、そうそう。であれば安い国日本は、彼らを積極的に誘致してはどうでしょうか?

 

*1:Brexit国民投票で決まった時に「Independence Day!」と叫んだポピュリスト

*2:【イギリス総選挙2024】 二大政党党首が初のテレビ討論 争点は税金や医療制度、移民 - BBCニュース