「防衛装備品の移転」という言葉は、官僚得意のレトリック。僕はどうしても好きになれない。ストレートに「武器輸出」と言って欲しいものだ。現状を整理すると、安倍内閣の時に少しだけ規制が緩和され、
・救難、輸送、警戒、監視、掃海の5類型に関するものは輸出可能
・紛争当事国には輸出できない
となっている。それでも(供与・支援だから輸出ではないが)紛争当事国のウクライナに、ヘルメットなどの防護品・小型の偵察用ドローン・糧食・トラック等の輸送車両を送っている(*1)。ウクライナからすれば、自衛隊が廃棄予定の74式戦車やMLRSが欲しいだろうが、流石に日本政府もそこまでは踏み切れない。
今の争点は何かというと、英国・イタリアと共同開発予定の次期戦闘機を第三国に輸出できるかどうかである。与党内で輸出可能の方向性が決まっていたのだが、昨年11月に公明党山口代表が中国に行ってから(何を吹き込まれたのか?)反対と言い始めた。現在、自民・公明両党間での折衝が続いている。
防衛装備品の第三国への輸出 “政府は丁寧に説明を” 公明 | NHK | 安全保障
もっとも公明党も「ダメ」とは言っていない。「国民への丁寧な説明」を求めているのだ。であれば、岸田総理は「真摯に説明」すればいいだけのこと。殺傷能力の有無にかかわらず防衛装備品は、
・実際に使われなければ役に立つかどうかわからない(Battle Proof)
・(西側だけだとしても)グローバルスタンダードであって欲しい
・量産されれば単価が下がり、総コストを抑えることができる
から、輸出できることは必須条件。これが産業界の常識なので、それを正直に言ってくれればいいだけのことです。「平和の党」の後ろにいる写真の学会の人達にも、丁寧に説明してあげてくださいね。