この夏、何冊かイスラム関連の書を読んだ。その中で2冊、重要なことを教えてくれたものがあった。
なぜイスラムは声を挙げない? - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)
ウイグル族への弾圧に対し、周辺の国や大国と思われるイスラム教国家が非難をしていないことを取り上げた書で「正統的なムスリム(*1)はほとんどいない」との言葉が印象的だった。
◆アフガニスタンの教訓:挑戦される国際秩序
シャリーアのみによる統治 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)
そもそもイスラム教は「商人の掟」、技術の発展は認めても社会の発展(変化)は認めないとある。シャリーア(*2)の原理原則だけで統治できた国は歴史上ないが、タリバンはそれを目指している。
特に後者の「社会の発展は認めない」には、衝撃を受けた。どんな社会も発展を目指すはずだとの僕の常識が、そもそも通用しない人たちがいたのだ。技術と社会は相互に影響し合って発展するもの、それが彼らの間では禁じられている。ましてや現代のようにデジタル等の技術が急発展する時代に・・・。
同時に、タリバンの中世の時代に社会を戻そうとする行動原理が理解できた。無論、賛同は出来ないが。正統的なムスリムはもういなくなった、ならばタリバンが社会糺すというわけだろう。格差を極限まで広げようとする西欧社会よりは、マシだと思っているのかもしれない。
しかしどんな国も、国際社会のルールにはある程度従わなくてはならない。資本主義下ではカネがモノを言う。そこで、
サウジ政府系、損失156億ドル-ソフトバンク・ファンドへの投資が裏目 - Bloomberg
にあるように敬虔なイスラム教国サウジアラビアでも、世俗の投資はするのだ。もちろん、イスラム教でも「金利は悪」と決めつけているわけではない。投資先と損も得も分かち合うなら、投資はOKだという。ただこのような姿を見て「正統的なムスリムはもういない」と嘆く気持ちも分からなくはない。
国際情勢を見るにあたって、参考になった書を紹介しました。
*1:敬虔なイスラム教信者