Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

陸上自衛隊の輸送艦

 尖閣諸島周辺には連日のように、中国海警局の武装船がやってきている。「海警法」施行で外国船舶に武力行使していいことになったものだから、より我が物顔に見える。中国の主張では尖閣諸島は自国領土で、日本が不法占拠しているだけだから、そこに着上陸しても「国内問題」である。そこで自衛隊が奪還に動いたらというシミュレーションも、架空戦記小説含めて数多く出版されている。

 

日中戦争の戦略論 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 総じて日本側に利がなく、上記の本などは「日本降伏」は必然と述べている。いや尖閣だけではない、最近小笠原諸島にも、違法操業漁船が増えているようで、海上保安庁が警備を強化するという話もある。そう、来週には竹島の日(2/22)もやってくる。

 

島嶼防衛強化へ「輸送艦4隻導入」 防衛相 - 産経ニュース (sankei.com)

 

 そんな国際情勢を鑑みてだろう、陸上自衛隊が輸送船4隻を配備する(2024年ごろ)との報道があった。新設される「水陸機動団」の一環かもしれない。でもこの記事は、70余年前のことを思い出させた。

 

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 帝国陸軍と海軍の仲が悪かったのは有名な話で、本来なら協力して外敵に当たるべきところ資源を奪い合い、個別に兵器を開発・運用していた。よく知られているのは戦闘機や爆撃機、輸送機まで含めて全くの個別開発、相互運用性も全くなかった。まあ陸軍の主敵はソ連、海軍のそれは英米だったから仕方ない面もあるのだが。

 

 海軍が真珠湾攻撃で広い太平洋の島々を巡る戦闘を始めてしまったものだから、陸軍は海上機動の手段がなく困ってしまった。当然海軍には輸送船はあるのだが、頭を下げるわけにはいかないと独自の輸送船を建造した。敵軍が制空権・制海権を握るようになると、ついに潜水艦まで作ってしまった。代表的なのが「三式潜航輸送艇(潜輸)」である。1型の諸元は、

 

・全長 41m

・水中排水量 379トン

・出力 水上400馬力、水中75馬力

・速力 水上7.5ノット、水中3.5ノット

・積載量 米24トン、兵員40名

・乗員 23名

・兵装 37mm砲×1、九九式軽機関銃×5

 

 40隻が完成し、多少の戦果はあったものの5隻が戦闘で失われた。評価としては高松宮の「片意地はった大きな無駄、遊び半分の不忠な話」とのコメントで十分だろう。今回の件も、そんなことにならなければいいのですが。