Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

愛国の度が過ぎると、それ自体危険

 台湾海峡の緊張が高まっている。「国慶節」に合わせて、台湾の防空識別圏に大量の軍用機を中国軍が飛ばしたり、台湾の対岸で大規模な上陸訓練を実行するなど、まだ「警告」のレベルとはいえリスクは着実に増えている。一方の米国側も、中国軍の充実度を懸念する声が、特に軍人の間で高まっている。まあ、これは「軍事予算くださいキャンペーンの一環」という分を割り引くべきだが。

 

 中国の軍人の声は僕らのところまで聞こえてこないが、どんな国の軍人も戦争の悲惨さを知っているだけにぎりぎりまで回避しようとするものだ。しかし政府TOPの強硬姿勢やその背景にある「市民の愛国的熱狂」が高まると、それに押し切られてしまいかねない。

 

 中国でのそんな危険な兆候が「愛国映画」。スーパー兵士がアフリカの地で悪の帝国を倒すため、市民の側に立って大活躍。得意のカンフーが炸裂・・・なんてのはいいとして、今回世界最大の興行収入を揚げたという「長津湖」などは、ちょっと危険な匂いがする。

 

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 舞台は朝鮮半島、酷寒の地で不十分な兵站や自然環境に苦しめられながら、盟友北朝鮮のために「最強米軍(正確には国連軍)」と戦った中国軍兵士たちの物語である。

 

中国で朝鮮戦争描く愛国映画がヒット、世界興収トップに | ロイター (reuters.com)

 

 米兵が七面鳥を食べるシーンと、中国兵が凍ったジャガイモをかじるシーンが対比されている。戦闘シーンについては「見てのお楽しみ」なのだろうが、実際に「人海戦術」を駆使したのだから、米軍の自動火器(.50calなど)になぎ倒される中国兵の突撃シーンは必ずあるだろう。

 

 結果として38度線まで米軍を押し戻し、現状の休戦ラインで収めたのだが、中国軍は100万人を失っている。ただ「盟友のために100万人の犠牲」という看板にはウラがあって、僕は毛沢東蒋介石を台湾に追い出して用済みになった、

 

・旧日本軍の影響が残る勢力

・中央(共産党)に従わない地方豪族

・国民党からの寝返り組

 

 などを「半島に捨てに行ったのだ」とする仮説を持っている。

 

半島に捨てに来たもの(3/終) - Cyber NINJA Archives (hatenadiary.com)

 

 米中対立の今、唯一米中が戦火を交えた歴史をことさらに美化するのは、台湾海峡の偶発可能性を増すだけだと思うのですが。