この4つの論点を順番に見ていこう。
1)データガバナンスの確保
民間が提供するしないの問題ではなく、データがしかるべく整理され、正しい目的のために使われているという状態を維持しないといけない。各府省で事務次官級が管掌するという体制もそうだが、ちゃんと管理できていますよということを内外に示す必要がある。
2)データ利活用人材の確保と育成
管理もそうだが正しくかつ迅速に政策に反映していくためには、デジタルデータの特性と同時に当該府省の政策決定プロセス(キモともいう)を熟知した人材が必要だ。職人技を持った人にデジタルリテラシーを持たせるか、その逆か。いずれにせよ2つの能力を持たせる必要がある。
3)民間データの利活用
行政とデータを提供する民間の間で合意すべき内容について整理し、民間データに内在するバイアスを除去したり、官民共同で精度を高めていく方式を確立する。
4)行政データの一層の利活用
既存の公的統計だけではなく、行政が業務上収集した行政記録等の(他部門などでの)積極的な利用拡大も考える。
これらを推進することで、より正しい政策を迅速に実施できるのだという。例えばシステム開発にも用いられるようになった「アジャイル開発」の考え方を入れて、基本政策を決めて実施してみて、迅速な結果のフィードバックを得て政策を修正してゆくこともできるという。
説明してくれた人の軸足が「どうやって民間データを(信頼して)提供してもらうか」に傾いていたので、
・すでにいろいろな形で行政にはデータ提供している。それらとの整合性は?
・個人情報が混じることもある。その扱いはどうなるのか?
という実務的な質問ばかりが出た。前者には「二重に徴求はしない」、後者には「保護委員会と連携して国際的な基準で保護する」という回答だったが、僕が気になったのはそんなことではない。
要は、どんなデータを(民間から)提供してもらったら、政策決定がどう変わるのかが分からないのだ。例えば、携帯位置情報で人流データが分かったら「COVID-19」感染拡大対策をどう変えるというシナリオのこと。
EBPMはまさに「政策DX」なのですから「政策決定プロセスをこう改革する、そのためにこのデータが欲しい」と言ってもらわないと、手続き論だけでは納得できませんね。え、そちらは「課題検討WG」の方だって?じゃあ、そちらの議論も教えてくださいよ。