Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

人工知能の定義論

 人工知能については過去に何度もブームがあり、多くの研究者がその高度化と実用化に向け努力した。しかし10年ほど前までは、「ちょっと変わったプログラミング技法」の領域を超えることはなかった。それは技術的な問題もあったし、何に使うかという応用分野の決め手がなかったことにも起因する。

 

 しかし今では囲碁・将棋の世界に、AI以前と以後で「定跡」が変わってしまうほどのインパクトを与えている。確かにルールが決まっていて、マギレのないゲームではこの技術は十二分にその能力を活かせる。

 

 ただその応用分野が広がりを見せるようになって、別の危惧も生まれてきた。AIを悪用されてはたまらないという意見だ。現実にIBMMicrosoftらは、AI顔認識技術を(昨今敵役の)米国警察に提供するのを止めている。以前から、AIに倫理を求める声もあって、開発者も利用者も十分に「説明責任」を果たすようように特に欧州方面から厳しい目が向けられている。

 

        f:id:nicky-akira:20200628104547j:plain

 

 そこで問題となってくるのが、AI:人工知能の定義である。普通のプログラム・システムには倫理や説明責任を求めないのなら、自分のシステムはAIではないと言い逃れるヤカラが出てくるかもしれない。これがAIかそうでないか、仮に裁判で争うようになったら、AIの定義でコンセンサスがないと判決はバラバラになってしまう。

 

 これに詳しい人から、AIの定義に関する現状を聞いた。現時点では、

 

Capability of a functional unit to perform functions that are generally associated with human intelligence such as reasoning and learning

 

一般的に推論や学習などの人間の知能に関連する機能を実行する機能ユニットの機能

 

 というのが一般的らしい。ただこれは1995年ころからの定義で、時代遅れではないかとISOでは次のような案が出ている。

 

Capability of an engineered system to acquire, process and apply knowledge and skills

知識とスキルを取得、処理、適用するための設計されたシステムの機能

 

 これでは不十分だと、EUのAI高度専門家会合では非常に長い(100語以上)の定義を持ち出しているが、さすがに長すぎるとして賛同を得られていない。この動向は、少し注目しておいた方がいいですね。いろいろ縛りが多くなりそうなAIシステムの開発・運用にあたる人たちは特に・・・。

 

注:翻訳はGoogle翻訳によりました