Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

江戸・長崎禁止法

 故堺屋太一先生は、官僚であった過去も振り返り「江戸・長崎禁止法」というものを提唱しておられた。例えば官僚が所管産業に対して「暗黙の規制」を押し付けているか、あるいは産業測が「忖度」をして新しいトライアルができない状況を打破したいという思いだったようだ。

 

 例えば僕の知っている範囲でも、30年以上前から「デビット・カード」のニーズはあった。当時これが認められた時に、「キャッシュアウト」が可能かという議論になった。1,000円の買い物をして銀行カードを出し1,000円分引き落としてもらうなら普通。10,000円引き落としてもらって9,000円は現金で「お釣り」をもらうというのがキャッシュアウトと呼ばれる方法。これができれば財布の現金が不足しても、消費者はいちいちATMを探さなくてもいい。

 

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 ところが当時デビット・カードを推進していた人によると、某官庁から「キャッシュアウトはしませんよね」と念を押されたという。これが「暗黙の規制」ないし「忖度」の形で誰かが判断し、この人に伝えていたのではないか?キャッシュアウトを禁止する文言は、僕は見ていないのでそう思ったわけだ。

 

 この真偽はともかく、霞ヶ関の思いを外れた何かをすると「報復される」という意識が民間側には根強い。その行為を取り締まる手段がなくても、何らかの形で当該企業が困るようなことを押し付けてくるのではないかと疑うわけだ。堺屋先生は民間にとってのこのような脅威を、「江戸の仇を長崎で討つような行為」を明示的に禁止して取り除こうと法案を提唱されていた。

 

 霞ヶ関関係の人たち(含むOB)と割合深い交流をするようになって彼らの行動様式がわかってくると、そのようなあからさまな行為はしないように思うのだが、かつては僕もそんな「脅威」を感じていた。ある程度その必要性は感じながら、どうやってそれを立証するのだろうかと「挙証責任」のことを考えると実効性は難しいとも思う。

 

 こういう脅威は民間でもあるし、ケイレツなどだったらもっと露骨にあったろうと思う。まあ、そういうことはしないというリテラシーをもってもらうこと、教育が一番の薬でしょうね。