Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ホルムズ海峡の沸点

 今月日本がイラン制裁の例外措置として輸入できていた原油が、ついにストップされた。例外措置の延長を願う国も多かったのだが、今回米国は強硬で問答無用ということらしい。日本のメディアは、日本の輸入量10万バレル/日は他の供給源から供給可能だとの商社の見解を伝えている。

 

 それでも、産油国ベネズエラの政変(内戦に近いか?)もあって、国内ガソリン価格は上昇中だ。それに、今後も「原油高」程度で済むかは不透明だ。韓国・インド等も日本にならって輸入しなくなるようだが、最大の輸入量(50万バレル/日ほど)の中国は容易に米国には従いそうもない。

 

 イランの外貨獲得手段のNo.1はもちろん原油、これを締め上げられ中国との取引も止まるようなら、経済がもたないと思う。そうなったとき誇り高いペルシア人が、米国に膝を屈する公算は高くない。何らかの反撃にでるだろうし、そうなった場合ありそうなのは「ホルムズ海峡封鎖」だ。

 

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 世界経済の「チョーク・ポイント」とも言えるこの海峡、一番狭いところでは幅33kmしかない。そこをペルシア湾産油国から毎日1,700万バレルの原油が通っている、過密交通地点である。海峡の北側にはイランの海岸線が長くつらなり、小規模な海上戦力を隠す場所はいくらでもある。水深は70m以上あるとはいえ、巨大タンカーが沈められれば事実上封鎖されてしまうだろう。

 

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-07/PR42EZ6K50Y301

 

 米国政府はイランの暴発を懸念して、空母機動艦隊や爆撃機隊を送ると発表した。たしかに、空母機動部隊は現時点での最強部隊だ。しかし対応できないものもあるので、この発表は恐らく「政治ショー」だ。いかに空からの監視や攻撃力を増したところで、海岸に隠された小型艇や海中に潜む小型の危険物からはタンカーを守りきれまい。

 

 太平洋戦争末期日本軍は、「震洋」というモーターボート、「蛟竜」という小型潜水艇、「伏龍」という爆雷を持ったフロッグメンを用意して米軍を水際で叩こうとした。ペリリュー島では米軍の上陸用舟艇糸満漁師から成る「特攻隊」が、海中に潜んで迎え撃った記録もある。

 

 もしホルムズ海峡が沸騰したら、日本のエネルギー事情は破滅的になるように思います。利用可能な原発を全部動かしても足らないでしょうか?