Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

IT戦略という指針(4)

 「e-Japan戦略Ⅱ」には、もうひとつ大きなタマが隠されていた。それは「政府の政策を民間の立場で評価する」という機関の設置である。戦略そのものにも数値目標と期限が書いてあったから、それが可能になっていた。とはいえ、政策評価というのは新しい概念である。IT政策推進という意味では意識のあっていた官民の間にも、微妙な緊張が走ったことだろう。

 小泉内閣は、IT戦略に対して積極的だった。長期政権だったこともあるし、竹中大臣・茂木大臣などこの分野に理解のある閣僚が総理の近くにいたからだろう。戦略そのものは改定しなくても、2度の政策パッケージを2004年、2005年に発表している。小泉内閣の締めくくりとして2006年に「IT新改革戦略」が公表され、ITによる業界の構造改革を促進する方向性が示されている。

 小泉政権を受け継いだ安部第一次政権は、消えた年金問題などで参議院議員選挙に敗れて退陣、福田政権は衆参ネジレ現象に悩んでこれも短命に終わった。そして麻生政権を迎える。いつ衆議院を解散するのかばかりが取りざたされていたが、久しぶりにIT戦略の改定をしたのがこの政権だった。時のIT担当大臣は、野田聖子議員。
 

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 麻生内閣のIT戦略「i-Japan戦略2015」は、2015年に向けてデジタル技術の活用を阻んでいる壁を突破するとした。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai51/siryou2.pdf

 ・政府CIOの設置や国民電子私書箱導入
 ・遠隔医療技術の活用や日本版EHR(Electric Health Record)の実現
 ・子供の情報活用能力の向上、高度デジタル人材の育成
 ・全産業の(情報活用による)構造改革
 ・デジタル情報の流通、活用基盤の整備

 などが挙げられている。特徴的なのは、IT機器/システムではなくそれらの中にある「情報」そのものに着目したこと。データの大量処理や流通、分析、活用方法を開拓する「高度デジタル人材」を育成するといった記述は、後年の「ビッグデータ/データサイエンティスト」を彷彿とさせる概念だ。

 ただ惜しむらくは「i-Japan戦略2015」公表後3ヵ月で政権交代となり、実現できたものがあまりに少なかったことである。

<続く>