ロシアの脅威が高まり、その後ろ盾となっている中国への不信感も、欧州各国に広がっている。2年半前には、英国が最新鋭航空母艦「Queen Elizabeth」を極東に派遣してきた(*1)。香港の「一国二制度」を踏みにじるような、習政権への叛意を込めた動きだった。
その後ロシアのウクライナ侵攻があり、NATOの危機感は強くなった。極東におけるロシアの脅威はさほどではないとはいえ、同盟国を糾合したい米国バイデン政権は、極東でのNATOに近い組織を作りたい。日韓の首脳をキャンプ・デーヴィッドに招くなど極東含めた集団防衛条約を模索する外交を展開した。東京にNATOの支部を置くという案も出てきた。
これには台湾を廻る米中戦争に、欧州諸国も巻き込まれるのではないかと(特にフランスは)警戒して、東京支部の話は棚上げになった。ただ、中国の脅威やインド太平洋の安定に関して危機感を持つ国はあって、今回イタリア海軍の軽空母「カブール」が極東にやってくることになった。
イタリアの空母「カブール」が出港 8月下旬に日本に初寄港へ | NHK | イタリア
◇軽空母「カブール」
・就役 2008年
・基準排水量 22,000トン
・兵装 76mm砲×2、25mmMG×3他
・搭載機 ヘリ8機、攻撃機12機
・最大速力 28ノット
が主な仕様。同名の艦船としては、WWⅠ時に就役した弩級戦艦がある。WWⅡまでに近代改装を終えた仕様を紹介すると、
◆戦艦「コンテ・ディ・カブール」
・就役 1915年(改装完成1937年)
・基準排水量 29,000トン
・兵装 32cm砲×10、12cm速射砲×12、10cm高角砲×10、37mmMG×8他
・最大速力 28ノット
戦艦は母港タラントで、英軍の雷撃機の奇襲攻撃を受けて大破着底している。その後戦況に影響を与える活躍はできなかった。縁起の良くない名前を持ったフネですが、8月には来日するそうです。精々歓迎することにしましょう。
*1:航空母艦「Queen Elizabeth」 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)