この日はちょっと込み入った相談があって、非常に忙しい人をランチに誘った。先方の職場が渋谷に近いということ、肩ひじ張らず率直に意見を交わしたいので個室・・・という条件で探してもらったのが、外苑前駅からすぐの「kinari」という日本料理店(*1)。
地下鉄を出たところに、梅窓院という浄土宗のお寺がある。京都ではよく見るミニ竹林に守られた名刹で、道を挟んでガラス張りのモダンな建物がある。隈研吾氏のデザインということで、エントランスも凝ったもの。
カウンターが6席あって、板さんの後ろには多くの包丁が飾ってある。そのほかに5~6室の個室があって、奥の小さな部屋に案内された。相棒に聞くと、日本酒が美味しい店で、夜しか来たことがないとのこと。系列に「暗闇坂」と名乗る店もあって、照明を落としているのが特徴らしい。昼間でも、割合暗めの部屋だ。
まずはお茶を飲みながら、今日の趣旨を紹介。大筋で合意をしておいて、ちょっと時事の話で料理を待つ。やってきたのは、ドライアイスの煙をたなびかせた豪華な膳。
応量器御膳というもので、季節の味覚・造り・焼物・天麩羅・香の物珍味・土鍋炊き白米が盛り込まれている。造りの下に冷却器があって、しばらく白い煙を吹いていた。5~6種類のお魚が味わえる。野菜中心の天麩羅にはすでに塩がまぶしてあるので、薄く酢の味がついた大根おろしといただく。焼物はサバだろうか?非常に肉厚だった。ホタルイカが珍しかった。赤だしやご飯も、とても美味。お替りもできますよと言われていたが、今回はちょっと遠慮。意見交換の方が重要なので。
ゆっくり味わいながら、相談の方もうまく進んだ。共通の問題意識があり、具体的な方法論を詰めていくことで合意。美味しいものと一緒だと、うまくいくのかも。とてもいいお店ですから、今度は夜に来てみたいですね。日本酒のリストをちらりと見ましたが、けっこうそそられましたから。