Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

中国の「失われる30年」

 このところ、中国経済でいい話が少ない。今になってようやくIT産業、教育産業、不動産業叩きを緩和するとも言われているが、すでに手遅れかもしれない。

 

・IT産業 儲けすぎだし、共産党に楯突きかねない

・教育産業 格差拡大や不平等を産み出した

・不動産業 庶民から未来を奪った、住宅高騰の元凶

 

 なので叩いたのだが、その結果不況を招いてしまった。製造業がどんどんASEAN諸国などに流出しているのに、サービス産業が育っていない(あるいは偏っている)ために、ホワイトカラーの仕事が増えていない。そこに大量(粗製乱造?)の大学卒業生が出てきてしまい、若者の失業率は20%を越えた。

 

中国の大卒者を襲う超就職氷河期...その戦犯は? 若者の失業率は近年最高に|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)

 

    

 

 この数字は日本の「氷河期世代」のピーク時にも匹敵するもの。エコノミストの中には「これは、中国経済の失われる30年の始まりだ」という人もいる。すでに人口のピークを迎えていて今後の増収も期待できない上に、郷鎮企業や不動産業、地方政府、中央政府にたまった負債も大きく財政出動も難しい。

 

 さて、問題はここからだ。中国は共産党一党独裁だが、法律でそれが決まっているわけではない。共産党(党員9,500万人)は実は任意団体で、憲法はおろかどの法律にも規定がない。だから法に縛られずに何でもできるのだと、社会学者の橋爪大三郎教授(*1)は言う。では統治の根拠は何かというと、共産党は正しいから。

 

 正しいから経済成長したし、軍拡もできたし、国際的な地位も掴めた。それは共産党が正しかったから。しかしここから失われた30年が始まるとすると、共産党は正しいと言い続けられるのだろうか?

 

 正当性を失いかねないと見た習大人が、暴発して台湾侵攻なんてことすると困ります。通常なら中国共産党は、米国が出てくる可能性のある侵攻はしないはず、だから台湾有事は多分起きないと信じている僕を、裏切らないでくださいね。

 

*1:なぜイスラムは声を挙げない? - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)