Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

クリーンネットワーク拡大

 先週台湾工業技術研究院との「5Gセキュリティ」の議論を聞いたばかりなのだが、その背景になっている米中対立は激しさを増している。「COVID-19」感染拡大の中でも、ポンペイ国務長官は方々に外遊していたが、その成果が表れたかもしれない。それは、「5Gクリーンネットワーク」への参加国と参加企業が増えたこと。

 

https://www.epochtimes.jp/p/2020/10/63526.html

 

 約40ヵ国以上の国と50の通信関連企業が、名を連ねていた。中国人系メディアだがニューヨークに本拠を置き中国共産党には批判的(というより反旗を翻すがごとき)なメディアである「大紀元」ゆえ、タイトルに「中国企業排除のネットワーク」とあって、本文中で「中国共産党の影響を受ける中国IT企業を排除する取組み」と紹介している。

 

https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2020/08/24/140000

 

 以前紹介したO-RANやV-RANといった取組みは、まだ技術的な要素があったが、「クリーンネットワーク」はほとんど政治スキームだ。参加国はEUNATO諸国だという。

 

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 日本では国こそこの中に入っていないものの、NTT・楽天KDDIソフトバンクNEC富士通の6社が「認定」されている。各社は「共産党の影響を受けた中国IT企業」を利用しないことを示して、自らを「クリーン」だと認めてもらったわけ。そうでなければ当該ネットワーク参加国でのビジネスは難しくなったかもしれない。

 

 この記事は日本の茂木外務大臣が「5Gクリーンイニシャティブの概念を支持する」と述べたというが、現時点では日本は「特定の国を排除する協定には加われない」として参加していないはず。理由はともかく、日中関係が破綻するのを恐れての事かも知れない。しかし菅総理の最初の外遊先、ベトナムインドネシアでは「自由で開かれたインド・太平洋」を掲げていたのだから、中国の南シナ海進出をスクラム組んで阻止しようといっているのに等しい。それくらいならさっさと「クリーンネットワーク」にも参加し、ベトナムインドネシアを誘えばいいと思うのだが。

 

 しかし現時点では5G製品の価格競争力で、他の国がタバになっても中国には勝てません。発展途上国は経済状況も考えて「クリーン」だけを採用することはできないと思います。