Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

経産省・公取の共同文書(3/終)

 質問者のお二人のことはよく存じ上げているのだが、なんとなくいつも経産省総務省などと話し合っている時より、表情が硬い。200名の視聴者がいるからというわけでもなさそうだ。関係者から「質問者席を辞退する企業さんも多かった」と聞いていたので、やはり "Fair Trade Commission" の御威光というのは強いのかもしれない。ならば、背中に大きな組織を背負っていない僕の出番だろう。

 

 一般的に「どこまでやればNG」のことは割合出たので、僕からはちょっと厳しめの質問。「経済安全保障推進法などで、重要インフラ企業には行政の指導がありそう。電気通信事業法では、総務省がキャリアにすでに指導している。インフラ事業者が自社の事業継続のために取引先に同等の指導/要求をしてもよいか」と聞いた。すると、

 

    

 

 「優越的地位の濫用にあたれば、それが行政指導と同等であろうがなかろうがNG」

 

 との回答。正直驚いたが、サイバーセキュリティ以前に種々のケースでこのようなことは起きているという。それに関して複数の訴訟も起きたらしい。そんなケース、行政自身が「優越的地位」を使っているのじゃないかとも思う。

 

 もうひとつ「サプライチェーンは国内に閉じない。海外企業からの要請もあれば、海外企業への要請もある。独禁法等の域外適用は米国では10年以上前からあると聞いているが、日本ではどうか」と聞いた。すると「域外適用は難しい問題」としながら、

 

 「独禁法は『国内産業の健全な発展を阻害するもの』を取り締まるので、これに抵触すれば適用する」

 

 との回答だった。なるほど、国内産業に害が及ぶのなら誰が優越的地位の濫用をしても取り締まるし、害が及ばないなら海外の産業がどうなろうと「我、関せず」というわけだ。時間切れで、ここまでしか聞けなかったが、まずは議論できるベースは固められましたね。過度に怖れることなく、公取さんにも言うべきことは言って行きましょう。