Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

経産省・公取の共同文書(1)

 岸田内閣の「新しい資本主義」は、大企業(の内部留保)から中小企業への価格転嫁を図るという意志を持っていた。大企業のベア要求の多くは満額回答なのに、中小企業ではす簡単には行かない現状は、この意志がまだ浸透していないということかもしれない。ただこの意志は、行政機関には十分伝わっていて、昨年公正取引委員会が「転嫁円滑化施策パッケージ」を産業界に説明したことは、以前紹介した。

 

転嫁円滑化施策パッケージ - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 これはサプライチェーンの納入先にサイバーセキュリティ対策を求めても、言い方によっては「優越的地位の濫用」ととられてお縄になってしまうかもしれないという厳しいものに聞こえた。ただでさえ、納入業者にサイバーセキュリティ対策を求めることに遠慮する企業がいる現状では、困ったことだと訴えた。

 

        

 

 ある団体の調査では、

 

・日本企業の8割が、取引先から対策を求められたことがない

中国企業の8割は、取引先から対策を迫られてる

 

 となっている状況を改善しようとする者にとっては、公正取引委員会が「障害物」に見えたのだ。その「障害物」対策に、経産省は素早く動いてくれた。ほぼ半年で、経産・公取の共同文書が公表されている。

 

サプライチェーン全体のサイバーセキュリティ向上のための 取引先とのパートナーシップの構築に向けて | 公正取引委員会 (jftc.go.jp)

 

 ここでは、経産省の中小企業に対する支援策と公取の「サイバーセキュリティ対策の要請に係る独占禁止法・下請法の考え方」が併記されていて、

 

サプライチェーン全体の対策強化は重要である

・サイバーセキュリティ対策を要請すること自体が直ちに問題とはならない

 

 と明記されている。文書が出たことは画期的なのだが、これも知られなくては意味がない。僕らは「文書にかけなかったこともあろうし、企業現場はもっと具体的に主旨を聞きたいのだ」と複数の説明会を開いてくれるよう、依頼した。

 

<続く>