Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

スポーツ賭博解禁というが

 昨年は、横浜市を舞台に「カジノを作らせない」とする政争が繰り広げられた。結局IRの候補は、大阪に絞られたような気もする。今回、IR法にいう特定の地域を定めたカジノ解禁ではなく、全国的にスポーツ賭博を解禁してはとの議論が行われていることを知った。

 

経産省が導入を検討する「スポーツ賭博」―その背景と危険性とは | nippon.com

 

 この記事によると、目的はスポーツ産業の活性化。「COVID-19」禍の制約が無くなったとはいえ、プロ野球も大相撲も儲かるビジネスという気はしない。サッカーはチーム数が多すぎるので、J2以下はボランタリー精神でないと選手も続けられないと聞く。バスケット、バレーなどもプロ化されたようだが、米国のような産業化には至っていない。

 

 その差がスポーツ賭博の有無にあるという意見は、聞いた記憶がある。スポーツ産業にカネが落ちることで、地域スポーツや学生スポーツにもカネが回り、地域活性化や学校でのスポーツ振興の役に立つという論理。

 

    

 

 この記事では英国のブックメーカーの例が挙げられているが、英国の賭博(例えば競馬)は紳士のゲームだ。日本では公営ギャンブルは、貧困ビジネスではないかと思えるほど客層が違う。スポーツ賭博を解禁しても、結局「下流喰い」を増やすだけ、結果として格差を広げてしまうだけなのではないか。

 

 また、この記事にもあるように「八百長」の排除が難しい。野球の例が挙げてあるが、大相撲ではかなり公然と「勝ち星の売り買い」が行われていた。かつての大横綱は、本番前に柔軟体操もしていない日がある。不思議に思った記者が理由を聞くと、別の力士が「今日は注射や」と言う。すでに星を買っているので、土俵の上では「フリ」をすればいいのだ。

 

 また、賭博産業もグローバル化していることを忘れてはいけない。米国のスポーツ賭博に日本人が参加できないことはない。現地に行けばもちろんだし、オンライン賭博だったらどうだろう。違法には違いないが、現実に摘発できないかもしれない。現に山口県阿武町の事件では、容疑者は「オンラインカジノで使った」と言っていたではないか。摘発できるなら、4,600万円も使う前にストップを掛けられただろう。

 

 20兆円産業とも言われるパチンコ業界もあるし、賭博を本当にしたい人はスポーツ賭博解禁されなくても何かしている。百害あって一利程度の策に思えるのは僕だけですか?