Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

NATOはNOTOへ進化するのか?

 ロシア軍がキーウ近郊に残していったのは、戦闘用車両の残骸と共に多くのウクライナ民間人の遺体。回収も埋葬も間に合わなかったのだろう、リアルな映像として全世界に流されてしまった。この残虐行為については言い訳のしようもないだろうし、ロシアをこれまで非難していなかった中国、インドも知らんふりはできなくなった。

 

 TVニュースには、ロシア・ウクライナの安全保障の専門家という人たちが連日出演している。これまで注目されなかった研究テーマに、地道に取り組んできた人たちである。彼らを知る外交分野の識者と、医療行政に詳しい人、そして僕の3人で話をしたところ、一致することがあった。それは「不幸な出来事ではあるが、陽の当たらなかった人たちに活躍の場ができた」ということ。

 

 まずロシア・ウクライナ問題の研究者、感染症の研究者、そしてサイバーセキュリティを含む企業のリスク管理の研究者である。社会的には困ったことだが、こういう事態にならなければ、これらの研究者が日の目を見ることはなかっただろう。別の見方をすれば、注目されないことをしてくれた人たちがいて助かった、備えあれば患いなしということだろう。

 

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 ウクライナ侵攻・「COVID-19」感染拡大・サイバーリスクの増大のいずれも、早々に治まってくれれば有難いのだが、いずれも一筋縄ではいかないようだ。

 

 先週、林外務大臣ブリュッセルでのG7外相会合に出席した後、NATOの外相会合にも参加した。日本の外務大臣としてNATO会合に出るのは初めてのことだ。ソ連崩壊の後、徐々にNATOの存在意義が薄れてきていた。それが今回のロシアの所業を受けて、目を覚ました感が強い。平和な時期には上記「陽の当たらない人たち」同様、経済活動などに比べて目立たない存在だったが、今は注目が集まっている。

 

 ロシアの残虐な本性が見えて来て、問題は北大西洋だけの事ではなくなりつつある。NATONorth Atlantic Treaty Organization)は、北太平洋も含めたNOTO(North Ocean Treaty Organization)に進化すべき時になったのではなかろうか?NATO会合に、日本・韓国などが参加したのは、その前触れかもしれない・・・そんな夢を見てしまいましたよ。