Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

産業政策としての経済安保

 先月、経済安全保障関連法案の中心人物だった経産省のF氏が、文春砲の兼業疑惑報道によって辞任している。今国会の重要項目であるこの法案は、推進力に陰りが出たと言われている。さらに東洋経済にこのような記事が出て、関係者の実名(&写真)まで出た。

 

経済安保の推進に絡むあまりに「怪しげな構図」 | 安全保障 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)

 

 経済安保は自民党甘利元幹事長が推進役だったことは公知、しかしその陰に大手監査法人E社のK氏がいたとの内容である。K氏は多摩大学ルール形成戦略研究所で、経済安保の議論を主導していた人物だ。

 

 彼には大手監査法人D社在籍中に、何度か会っている。サイバーセキュリティ対策も含めて、安全保障寄りの議論に長けた人物だった。米国等海外のセキュリティ対策・政策に詳しい人との印象がある。D社のパートナーコンサルであるとともに、多摩大学で上記研究をしていたマルチタレントといえよう。

 

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 ただその後彼はE社に移り、D社との確執があったという。上記の記事によれば、彼の移籍に絡み防衛省のコンサル発注がD社からE社に移った(D社を締め出した)疑いがあるのだ。それに加えて、今回F氏の金融庁からみの情報をK氏に漏らしたというメールまでが掲載されて、上記記事の言う「怪しげな構図」となった。同様の記事は先週の「ZAITEN」にも載っていたから、間違いではあるまい。

 

 ただ僕としては、まだこの構図で全部が納得できていない。僕はF氏とは面識がないが、甘利先生やK氏とは議論させてもらったことがあり、経済安全保障の最初の項目は「エネルギーや食糧の確保」だとお二人は理解されていたと思っていたから。それが今回の法案は、国民民主党が「エネルギー・食糧自給を強調すべし」と提言したように、その面が薄い。

 

 ある識者は「経済国家運営の話だと思って法案を読んだら、産業政策に終始している」と評していた。何度かご紹介している半導体産業誘致など、その典型例である。記事に出てくる3人の名前の他に、もっと産業政策寄りの働きかけをした人物がいるのではないか?あるいはF氏がそれを主導したのか?

 

 どうも分からないことだらけのこの議論、もっと多くの識者の意見を聞きたいですね。