Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

自殺の予兆とSNSプロバイダー

 「COVID-19」感染拡大とその対策強化で、明らかに減ったのはインフルエンザの流行による死者。逆に増えたのが、仕事を失うなどして「孤独」になった人のうつ病。これが高じて、生活困窮になった人も含めての自殺者は増えた。

 

 「COVID-19」の新規感染者が少なくなって、関係者の関心は自殺の可能性のある人にも向いてきた。先日の日曜討論では、特に若年層のケアをしている団体の代表が、政府の感染対策に注文を付けていた。「給付金を渡せばいいのではありません。仕事ができなくなって誇りをなくしても、人は困窮するのです」と言っていた。

 

 そんな団体は電話やインターネットで、ケアをしている人たちと接触。危ないと思ったら救済のてを差し伸べるのだが、最終的に頼る心療内科が2ヵ月待ちだと、嘆いていた。自殺の予兆はSNS上の特定の言葉(例:死にたい)にも表れるのだという。

 

 日本ではケアをする人や組織が、SNS上をパトロールして見つけるようだが、中国ではAIがそれを自動的に行って「自殺しそうな人」を検知するという。

 

中国で「自殺したい人」を見つけるAI アルゴリズムは“心の病”の救世主になれるのか | 人工知能の有効性と限界 | クーリエ・ジャポン (courrier.jp)

 

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 このところデジタル産業を締め付けている習大人だが、このようなSNS利用ソリューションには賛辞を送っているようだ。高度なAIでなくても、単純なキーワードだけでも効果はあると思うが、中国でのネックは駆け付けて手を差し伸べるボランティアや心療内科が少ないことらしい。

 

 一方、人口一人当たりの精神科医が中国の5倍もいる米国では、精神科医の方がFacebookがそんなキーワードを抽出すると発表したことに対し、異論を唱えている。曰く、

 

・透明性に欠ける

・不当な介入を起こす恐れがある

・ユーザーの同意なしに行われる

 

 からNGなのだそうだ。翻って、日本のプロバイダーはどうなのだろうか?このようなことをすれば、もちろん個人情報の同意なし利用だが、逆に認識しながら見逃したことで「未必の故意による自殺ほう助」に問われないだろうか。このような個人情報利用は「公益」だから、同意なしで使えるという人もいるかもしれないし。

 

 まだ日本ではこのような議論を聞いたことがありませんが、そろそろ話題になるかもしれません。一度、専門家に聞いてみましょう。