Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

国内データセンターのメリット

 旧知の人から「国内データセンターの誘致に関して」と質問を受けた。インターネット経済は典型的な水平分業形態なので、その一番下支えになるデータセンターのようなハードウェアのことは、最近全く関知していない。慌てていろいろ調べてみると、

 

データセンター建設ラッシュ 外資攻勢、国内勢も対抗: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 の記事にあるように、国内データセンターの拡充が続いているという。僕がデータセンター誘致に興味を持っていたのは、ほぼ15年ほど前まで。地方創生のニーズやデジタルサービス需要の高まりで、データセンターに価値があると思っていたころだ。そのほのかな希望は、現実を見て消え去ってしまった。

 

 山の上を切り開いたセンターを見学しての帰り道、世知にたけた人が僕に言う。「なぜ山上に作ったか分かるか?土地が安いからじゃない。山の上まで行く道路建設が(地方創生の)目的だよ」と・・・。また霞ヶ関が進めるセンターの誘致合戦でも「○○に決まっているよ。自民党重鎮の地元だろう」との声もあった。

 

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 それで興味をなくしただけでなく「Free Flows of DATA」の政策論をやっていて「世界中で一番安く便利なところで仕入れ、高く売れるところで売る」ビジネスモデルが身に染みていた。これはデータセンターについても同じ、必ずしも国内で仕立てる必要を感じていなかった。

 

 しかし上記の記事にあるように、国内データセンターが人気なのはいくつか理由がある。

 

1)日本が安い国になった。

 円安・物価安は発展途上国並み、日本で建設してもコスト問題は軽減された。

 

2)国際的な緊張関係が高まった。

 米中対立もあって、海外のデータセンターが突然使えなくなるリスクが増えた。

 

3)国産を売りにするサービスが増えた。

 国内に個人情報を保持と言いながら、韓国に持って行った事案もあり、サービス側が利用者に「国産」をより強くアピールしている。

 

 また「経済安全保障」の気運が高まっているので、例え米国の事業者だったとしても「日米関係が悪化したらサービスが止まる」リスクを考える人も出てきた。インターネット経済の水平分業では、米国機関が独占しているものもあるのだけどね。

 

 本来国境がなく、地球で一つが理想のサイバー空間。各国別にインターネット投資するような、非エコなまねは止めてほしいと思いますが。