「猛烈な勢い」でもあった台風16号、日本列島への上陸の恐れはなかったのだが、なにしろ強くて大型で熱海はもちろん東京でも大きな影響が予想された。運の悪いことにこの日はある用事があって、神田界隈に出かけないといけない。しばらく前にようやくとれた予約なので、キャンセルしたくなかった。当日の朝、新幹線が動いているかも不安だったから、前泊することにした。
幸い「COVID-19」新規感染者も減っているし、それでいてホテルも空いている。便利そうなのは秋葉原駅あたりと考えて、駅からほとんど雨に濡れないで行ける「秋葉原ワシントンホテル」を予約した。
前夜到着したのは夜の８時ころ、まだ雨も降っていなかったし、この日まで東京都は緊急事態宣言下だったから、人通りも多くない。もちろん呑み屋も（目立つところは）開いていないから、さっさとチェックインしてしまおう。
名の通ったホテルチェーンだし、便利なだけでなく清潔。シングルの部屋だがベッドはセミダブルで、１泊5,000円を切るのだから、日本はやっぱりデフレである。TVで自民党の党役員人事についてのニュース討論会を見ているうちに眠ってしまった。
翌朝６時過ぎに目覚めると、さすがに雨が降っている。駅でタクシーを拾い、ほぼ半日かかる用事を済ませた。午後３時近くになって、ひどい風雨の中を御茶ノ水駅まで戻ってきた。天気予報によると、関東地方への最接近はこれかららしい。今回ばかりは買い物もやめにして、新幹線の動いているうちにと帰路についた。
新横浜までは車窓がボヤけるほどの雨が降っていたのだが、小田原近くなると雨は止んだ。熱海駅に着いたところ、西の空にかすかにだが陽がさしている。夕方自宅のベランダに出てみると、太い虹が海にかかっていた。
ちょうど、初島から垂直に虹が空に伸びているように見える。家内としばらく見とれていると、ウチより海に近いマンションの屋上に多くのカラスが止まっていることに気づいた。まるでヒッチコックの「鳥」のシーンのようだ。なんとなく虹に見とれているようにも思える。
海あり山ありの熱海の街には、時々虹はかかります。それでもこんなのは初めてです。気象的には「台風一過の現象」、でも心情的には「波乱の予兆」ですかね？
